研究課題
若手研究
申請者は、PI3K-Aktシグナル伝達系がmTORC1を介したオートファジー誘導に着目し、細胞内リソソーム膜上でPhafin2とリン酸化酵素Aktの結合体が必須であることを示した。さらに、そのAktがリソソーム局在性リン酸化酵素VRK2と複合体を形成し、mTORC1を介さずにAktの活性を維持し、リソソーム分解酵素の活性を正に制御してオートファジーを誘導することを報告した。この誘導機構が、抗原提示細胞内の病原体の分解を担うオートファジーに関与すると考えた。このオートファジーは自己免疫疾患や腫瘍免疫寛容において役割を果たす報告があるため、この仕組みによる新たな免疫応答制御機構を解明したい。
作成したマクロファージ細胞株と樹状細胞株の発現を確認後、初年度に計画した病原体由来の活性化物質を認識する受容体リガンドによる刺激、リソソーム活性の測定、細胞内シグナル伝達の解析、細胞内外のサイトカイン産生について、早急に実験を推し進める予定であったが、発現確認の際のマウスVrk2を認識出来る抗体の作成の検討までのみが完了している状態である。しかしながら、教室に所属した留学生がPtdIns(3)P結合性の核酸医薬(RNA aptamer)に関する論文発表を行い、そのRNA aptamerを遺伝子導入した肺癌細胞株A549の安定発現細胞株を作成した。そしてその細胞株がインフルエンザウイルスの感染を抑制することをプラークアッセイ、細胞内シグナル伝達、細胞内の分子局在性にて証明することができた(未発表)。そして、現在世界中で新型コロナウイルスCOVID-19(SARS-CoV-2)の感染が流行していることから、この受容体(ACE2とTMPRSS2)を共発現させた後RNA aptamerを安定発現した細胞株(HEK293T)に、偽型ウイルス(Pseudotype SARS-CoV-2)を用いて、この新型コロナウイルスに対する感染抑制の可能性を考えて実験を進めていたが、私の任期が満了したことから、実験は間に合わなかった。今後、この件についてご相談させていただいている教授と相談し、得られたデータ内での論文報告を検討する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件)
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