研究課題/領域番号 |
19K16614
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
池上 一平 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80837021)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Bob1 / Th17 / EAE / Multiple Sclerosis / IL-17A |
研究開始時の研究の概要 |
難治性の自己免疫疾患の病態病理を解明し、診断方法、治療方法を確立することが社会的に求められている。我々はこれまでに転写共役因子Bob1がCD4陽性ヘルパーT細胞のうち抗体産生機構を司る濾胞ヘルパーT細胞に発現していることを初めて同定し、Bob1の機能的意義に着目している。更なる検討の結果、Bob1は濾胞ヘルパーT細胞だけでなく、他のCD4陽性T細胞サブセットにも発現していることを発見した。そこで本研究では、CD4陽性T細胞におけるBob1の機能制御機構の解明を目指す。本研究の成果を元に、CD4陽性T細胞が病態を形成する自己免疫疾患とBob1との関係を明らかにし、今後の臨床応用へと発展させたい。
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研究成果の概要 |
本研究はCD4陽性T細胞での転写共役因子Bob1の機能解明を目的とした。そこで、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルをBob1欠損マウスに誘導したところ、野生型に比べEAE症状発症低下を認め、リンパ組織ではEAE病態形成に重要なIL-17A産生CD4陽性T細胞が減少していた。このことからBob1がIL-17A産生に寄与していることが示された。そして、Bob1はRORγtと結合し、IL-17A産生を調節するという新規メカニズムを発見した(Biochem Biophys Res Commun. 2019)。これを踏まえ、CD4陽性T細胞特異的Bob1欠損マウスを作出し、更なる検討を進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Bob1はこれまでB細胞での機能的意義について検討されてきたが、本研究によりBob1はCD4陽性T細胞サブセットのうちTh17細胞のIL-17A産生に寄与すること見出した。Bob1は転写因子Oct1/2との結合様式が知られていたが、Th17細胞のマスター転写因子であるRORγtとBob1が結合し、転写活性を調節するという新規制御機構を初めて見出し、学術的に意義のある結果を得た。病原性CD4陽性T細胞の機能制御は不明な点が多いため、CD4陽性T細胞特異的Bob1欠損マウスを用いた研究により、CD4陽性T細胞が病態形成に寄与する疾患の理解が進み、得られた結果を医療社会に還元できると確信している。
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