研究課題
若手研究
HIV 感染に対する有効な予防ワクチンは,長年の研究資源投入にもかかわらず現在でも確立しておらず,感染ごく初期の免疫応答,特に感染細胞に対する NK 細胞の機能解析が,HIV をはじめとするレトロウイルス感染予防に極めて重要な因子として精力的に研究が進められている.本研究では,これまで申請者の研究グループが世界をリードしてきたマウスフレンドレトロウイルス感染モデルを活用し,感染防御性免疫が積極的に NK 細胞活性化と感染細胞の NK 細胞に対する高い感受性を誘導することで感染細胞が効率的に排除されることを証明し,新たな抗レトロウイルスワクチン戦略を提示する.
マウスレトロウイルスと感染防御性マウスモデルを用いて宿主免疫応答,特にNK 細胞の活性化機構の解明に取り組んだ.感染細胞排除にはNK細胞が早期に活性化されることが必要であるが、その具体的エフェクター機構は不明であった.本研究は,感染早期の抗原特異的濾胞ヘルパー T 細胞による IL-21 発現が,NK 細胞上の IL-21 R に作用して NK 細胞の成熟・活性化を誘導し,積極的に感染細胞を排除していることを明らかにした.さらに,NK 細胞上の CD154 は感染早期に樹状細胞およびマクロファージの CD40 から刺激を受容することで IL-21 R の発現を調整していることを明らかにした.
本研究は,適切なエピトープ選択による免疫によって早期に Tfh が誘導されることは,NK細胞の活性化をもたらすことにつながりウイルス感染細胞を効率的に排除することが可能であるという新規メカニズムを証明したことを意味し,新たなワクチン開発につながることが期待される.従来,NK 細胞は抗原感作が不要と考えられてきたが,CD4 陽性 T 細胞を適切なエピトープで免疫すれば NK 細胞に間接的に抗原特異性を賦与できること,また,樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞の CD40 分子が効率的な NK 細胞活性化に重要であるという分子基盤を明らかにした.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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