研究課題/領域番号 |
19K16623
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
中島 健太郎 徳島文理大学, 神経科学研究所, 助教 (20449911)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多発性硬化症 / 脱髄 / 髄鞘再生 / Cuprizone / LDM / CYP51 / Lanosterol / コレステロール / オリゴデンドロサイト / 脱髄性疾患 / Multiple sclerosis / Demyelination / Remyelination |
研究開始時の研究の概要 |
全世界の罹患者が約250万人といわれる多発性硬化症は、自己免疫的機序によって神経線維を覆う髄鞘が脱落する炎症性脱髄疾患と考えられている。この神経難病の克服には、病態の基礎を成す炎症反応の制御だけでなく、髄鞘再生を促進する治療アプローチの併用が鍵と考えられる。その際、髄鞘再生に必須の脳内コレステロールの代謝制御機構の解明が非常に重要な課題となる。 本研究では、その制御機構に関与する酵素LDM(ラノステロール脱メチル化酵素)に着目し、髄鞘再生機構の新たな基礎的知見の集積により、自己免疫反応の制御とは異なる、髄鞘再生促進という観点から多発性硬化症の新たな治療ターゲットを見出すことを目指している。
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研究成果の概要 |
Cuprizone誘発性脱髄モデルマウスを用いた解析の結果、ミクログリアに続き、髄鞘再生過程で脱髄部位へ浸潤してくるアストロサイトにおいて、コレステロール代謝の主要制御分子であるSREBP2と、それにより制御されるコレステロール代謝関連分子の発現増大が明らかとなった。これらの結果は、髄鞘の主要構成成分であるコレステロールが、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトではなく、髄鞘再生時にはアストロサイトから主に供給されていることを示唆している。このことから、髄鞘再生過程でのアストロサイトにおけるコレステロール代謝制御の理解が、脱髄疾患の新たな治療基盤創出に重要と考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多発性硬化症は、自己免疫的機序によって発症する炎症性脱髄疾患と考えられており、現在の治療薬は全て髄鞘に対する自己免疫反応の抑制に基づくものである。本研究で明らかとなったアストロサイトのコレステロール代謝制御による髄鞘再生促進についての基礎的知見は、従来とは異なるコンセプトでの脱髄性疾患治療法の開発に道を開くものである。オリゴデンドロサイトでのLDM/CYP51の機能的役割やアストロサイトを介した髄鞘再生促進の機序解明はこれからの課題であるが、活性化ミクログリアや反応性アストロサイトとの協調的なコレステロール代謝制御による髄鞘再生促進という観点は、脱髄疾患の新たな治療基盤になると期待される。
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