研究課題/領域番号 |
19K16627
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
|
研究機関 | 千葉大学 (2021-2022) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
坂本 寛和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40724349)
|
研究期間 (年度) |
2021-03-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | パーキンサス / アピコンプレクサ / アピコプラスト / 非光合成型葉緑体 / アピコンプレクサ門寄生虫 / 非光合成葉緑体 |
研究開始時の研究の概要 |
マラリア原虫やトキソプラズマに代表されるアピコンプレクサ門原虫は、その細胞内に葉緑体起源のオルガネラである「アピコプラスト」を持つ。アピコプラストは原虫の生存に必須であるが、その普遍的な生理学的意義は完全には理解されてない。本研究は、アピコンプレクサに近縁な貝類寄生原虫パーキンサスが持つ独自ゲノムすらも喪失した最も退化した葉緑体に着目し、そこに残された代謝経路の解明を目的とする。パーキンサス葉緑体がどのような代謝物を合成しているかを明らかにする事で、アピコプラストの普遍的な生理学的意義の理解とともに、寄生適応による本オルガネラの機能退化の道筋とその原則の理解を目指す。
|
研究実績の概要 |
マラリア原虫やトキソプラズマに代表されるアピコンプレクサ門原虫は、その細胞内に光合成能を喪失した退化的な葉緑体(以降’原虫葉緑体’)を持つ。この原虫葉緑体は、原虫の生存に必須であるが、その普遍的な生理学的意義は完全には理解されてない。本研究は、アピコンプレクサに近縁な貝類寄生原虫パーキンサスがもつ、独自ゲノムすらも喪失した最も退化した葉緑体に着目し、そこに残されているであろう原虫葉緑体の最小限のタンパク質群および代謝経路の解明を目的とした。さらに、パーキンサスの遺伝子導入法の改善、改良を実施し、より効率的にパーキンサスを用いた研究ができるための基盤技術の構築も目指した。 令和3年度にミトコンドリア内へ任意のタンパク質を輸送するための手法を開発し、令和4年度では、この手法を用いてパーキンサス葉緑体移行タンパク質へGFPを融合させたタンパク質の安定発現細胞の作出を実施した。遺伝子導入後に、ドット状のGFPシグナルが確認され、これがパーキンサス葉緑体であることが示唆された。この遺伝子導入細胞の薬剤選択を実施したが、薬剤耐性をもつ安定発現細胞の作出が難航したため、令和4年度に予定していた原虫葉緑体プロテオーム解析の実施には至らなかった。 一方、パーキンサスの新たな遺伝子導入(エレクトロポレーション)方法の開発に成功し、論文として報告することができた。これまで、パーキンサスのエレクトロポレーションに用いる装置は1種類のみしか報告がなく、電気パルス条件も不明であり、コストも高かった。研究代表者は、この状況を打開するため、エレクトロポレーションバッファーと電気パルス条件を検討した結果、既存法に匹敵する成績の条件を見出すことに成功した。この成果は令和4年度中に論文投稿し、受理された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度中の実施を計画していたパーキンサス葉緑体プロテオームの解析に至らなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、葉緑体局在GFPを安定発現させた”葉緑体マーカー”パーキンサス細胞および、近位依存性ビオチン標識法のための安定発現細胞を樹立中である。これらの細胞が確立され次第、イメージングによるパーキンサス葉緑体の形態観察および近位依存性ビオチン標識法によるプロテオーム解析を実施し、パーキンサス葉緑体に局在するタンパク質の同定を行う。また、本研究課題を基とした国際共同研究強化(A)による海外渡航を実施する。
|