研究課題/領域番号 |
19K16632
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
保科 斉生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60648830)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 寄生虫卵内服療法 / 豚鞭虫 / 安全性評価試験 / 安全性試験 / 腸内細菌叢 / 自己免疫性疾患 / 安全性 / 自己免疫疾患 / 衛生仮説 |
研究開始時の研究の概要 |
1989年に提唱された衛生仮説では、衛生的な生活環境が整うにつれて、アレルギー疾患が増加すると説明しています。近年、日本では炎症性腸疾患を患う方が増加傾向にあり、生活の質の低下、免疫抑制療法による弊害等が問題となっています。 欧米では豚の寄生虫である豚鞭虫にわざと感染し、腸管免疫の暴走を抑えるという方法がこれまでにいくつかの研究で実施され、安全性の確認と、一部の研究ではその有用性が報告されています。本研究では、これまで評価の対象となっていなかった日本人の炎症性腸疾患患者さんやその他の自己免疫疾患を対象に、この療法の安全性・有効性を評価します。
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研究成果の概要 |
人工的な寄生虫感染は、自己免疫性炎症性疾患の病勢を抑制する可能性がある。海外では豚鞭虫を用いた臨床試験が実施されているが、日本人を含むアジア人での検証は不足している。本研究では12人の健康者ボランティアを対象に、安全性評価試験を実施した。豚鞭虫卵(TSO)またはプラセボを内服した参加者を、56日間観察した。観察期間中に重篤な有害事象は認められなかった。ただし、TSOを内服した一部の参加者は、腹痛や下痢などの消化器症状を呈し、好酸球数の増加を認めた。また一部の参加者の腸内細菌叢に変化を認めた。日本人におけるTSO内服療法は安全であるが、使用には医療機関の適切なフォローが必要であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
欧米では人工的に寄生虫に感染することにより、炎症性腸疾患をはじめとする自己免疫性疾患の病勢をコントロールする試みが展開されている。その理由として、治療による免疫抑制が不要であり、医療費の抑制につながることが期待されている。本試験は、日本人における豚鞭虫卵内服療法の安全性を評価した初めての臨床研究である。本研究の結果から、日本人におけるTSO製剤の有害事象は、欧米人によるものと同程度であるとことが明らかになった。ただし、消化器症状や好酸球増多が生じることから、医療機関での適切なフォローが必要であることも判明した。本結果に基づき、自己免疫性疾患の患者を対象としたTSO内服療法の検証が可能になった。
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