研究課題/領域番号 |
19K16662
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
山本 健太郎 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 研究員 (40832308)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 結核菌 / 一分子イメージング / 多剤耐性 / トランスポーター / 薬剤耐性 / 生物物理学 / 抗酸菌 / 発現解析 / 二成分制御系 / 結核 / バイオイメージング / 一分子観察 |
研究開始時の研究の概要 |
結核菌の潜在的な薬剤(多剤)耐性機構の理解には細胞膜上に位置する異物排出ポンプの機能単位・構築過程の解明と,そのコンポーネントの発現制御機構を明らかにすることが求められる.一分子イメージングの技術を用いて,RND型と推定される結核菌異物排出トランスポーターMmpLの動態を可視化することでポンプ複合体の構築過程の解明を目指す.また,細菌に普遍的に存在するシグナル伝達機構の1つ,二成分制御系 (TCS) に焦点を当て,11種類のTCS転写因子のMmpL発現制御機構を調べる.上記2つの研究成果を元に,結核菌の異物排出システムによる潜在的な多剤耐性機構の包括的解明を目的とする.
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研究成果の概要 |
結核菌RND型トランスポーターMmpL5が膜融合タンパク質と想定されるMmpS5の存在下で細胞膜上に固定されることを見出した。また,この固定されたMmpL5を蛍光褪色法によって解析した結果,三量体を構成することで薬剤排出活性を維持していることがわかった。さらに,精製したMmpL5とMmpS5が共沈してくることから,MmpL5とMmpS5の直接的な結合が示唆された。 また,二成分制御系転写因子であるDevR, MtrA, NarL, PdtaR発現下でMmpSL5の基質に対するMICが上昇したことから,環境刺激を二成分制御系を介して受容し,mmpSL5の発現を調整している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,これまで仕組みが不明であった結核菌のRND型異物排出ポンプMmpSL5に着目した。その結果,MmpS5とMmpL5は直接的に相互作用を行い,1つのポンプを構築することが明らかとなった。また,大腸菌のような一般細菌と同様に環境刺激を受容し,異物排出ポンプの発現を制御していることも示唆された。これらは結核菌の基礎研究の分野に留まらず,抗結核薬が効きにくい非結核性抗酸菌症の耐性機構の解明につながることが期待できる。さらに,本研究を元に異物排出ポンプの活性阻害をするような創薬・多剤耐性菌治療への応用にも期待ができ,人々の健康増進への寄与という大きな波及効果が期待できるものである。
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