中部アフリカにおける出血熱ウイルス不顕性感染の網羅的解析及び抗体遺伝子配列解析

• 研究課題/領域番号: 19K16673
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分49060:ウイルス学関連
• 研究機関: 長崎大学
• 研究代表者: 牛島 由理 長崎大学, 熱帯医学研究所, 特任研究員 (80812297)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2021-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2020年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円); 2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
• キーワード: 新興・再興感染症 / ウイルス / サーベイランス / 公衆衛生 / 抗体 / 出血熱 / 遺伝子

研究開始時の研究の概要

エボラ出血熱をはじめヒトに致死性のウイルス感染症の発生や伝播は、被害の深刻さからその当該国だけでなく世界に大きな脅威をもたらしている。ワクチンや治療薬の開発は精力的に行われているが、実用化には至っていない。ガボン共和国は、過去にエボラ出血熱のアウトブレイクを経験し、死因に占める感染症の割合も高い。しかしながら、ウイルス感染症に関する研究はあまり行われていないのが現状である。本研究は、ガボン共和国のヒト検体を用いて、保有している抗出血熱ウイルス抗体を同定し、そのヒトモノクローナル抗体の遺伝子配列を決定することでワクチン開発研究や抗体薬創薬研究への基盤を構築することを目的とする。

研究成果の概要

本研究は、ガボン共和国において抗出血熱ウイルス抗体陽性検体を同定し、その抗体の遺伝子配列を決定することを目的とした。研究期間内に、ザイール・スーダン・ブンディブギョエボラ、マールブルグ、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス（LCMV）に対する抗体陽性検体を同定した。その後、抗体配列を決定する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により研究の中断を余儀なくされた。代わりに、アフリカ初の抗LCMV中和抗体検出という結果から、LCMVの感染リスクを明らかにするための解析を進め、身近な齧歯類および野生動物ヤマアラシとの接触がLCMV感染のリスク因子であることを明らかにした。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究は、ウイルス感染防御メカニズムの解明や有効なワクチンや治療薬の開発へと発展する研究の礎を築くものである。また、ウイルス感染症研究が盛んでないガボン共和国において、新たな知見を見出す可能性が高かった。実際、新型コロナウイルスによる研究中断により抗体配列の決定まで到達することは出来なかったが、ガボン共和国で過去報告のなかった出血熱ウイルスに対しても抗体陽性者を見出し、現在考えられているウイルス感染症の感染域に一石を投じた。また、ヒト住環境周辺地域に存在する野生動物がLCMV感染のリスク因子であることも明らかにし、感染防御対策を講じる上で重要な情報を得ることが出来た。

研究成果

• [雑誌論文] Identification of potential novel hosts and the risk of infection with lymphocytic choriomeningitis virus in humans in Gabon, Central Africa (2021)
  • 著者名/発表者名: Ushijima Y, Abe H, Ozeki T, Ondo GN, Mbadinga MJVM, Bikangui R, Nze-Nkogue C, Akomo-Okoue EF, Ella GWE, Koumba LBM, Nso BCBB, Mintsa-Nguema R, Makouloutou-Nzassi P, Makanga BK, Nguelet FLM, Zadeh VR, Urata S, Mbouna AVN, Massinga-Loembe M, Agnandji ST, Lell B, Yasuda J.
  • 雑誌名: International Journal of Infectious Diseases 巻: 105 ページ: 452-459
  • DOI: 10.1016/j.ijid.2021.02.105
  • NAID: 120007159499
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] Epidemiological studies on viral diseases in Gabon (2019)
  • 著者名/発表者名: Yuri Ushijima, Haruka Abe, Georgelin Nguema Ondo, Rodrigue Bikangui, Chimene Nze Nkogue, Etienne Francois Akomo Okoue, Alfred Ngomanda, Marguerite M. Loembe, Selidji T. Agnandji, Bertrand Lell, and Jiro Yasuda
  • 学会等名: 2nd African Congress for Clinical Trials
  • 国際学会