研究課題/領域番号 |
19K16674
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
岸本 直樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 助教 (80756148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | HIV-1 / 宿主因子 / 糖代謝リプログラミング / 解糖系 / 糖代謝 / HIV / ウイルス / 感染症 / 潜伏感染 / 根治療法 |
研究開始時の研究の概要 |
HIV感染症/AIDSは未だ根治には至っていない。根治を妨げている要因には、HIVの有する高度な変異性やHIV潜伏感染の存在がある。これまでに30種類を超える薬剤が開発され多剤併用療法が行われているが、現在の多剤併用療法では薬剤耐性ウイルスや潜伏感染ウイルスには効果を示さない場合がある。そこで本研究では、薬剤耐性ウイルスや潜伏感染ウイルスに効果を示す新規治療標的の同定を目指す。そのために申請者は、実際にHIV感染時に生体内で起こる細胞環境変化の中でもエネルギー産生経路に着目し、薬剤耐性ウイルスや潜伏感染ウイルスの存在によって変化する「タンパク質」に着目した研究を行う。
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研究成果の概要 |
HIVが感染標的とする免疫細胞は多様な代謝状態を示すことが知られているが、HIVが活性化T細胞に感染すると糖代謝リプログラミングが起こり、十分に酸素がある条件においても解糖系でのエネルギー産生が主体(好気的解糖)となる。そこで本研究では、解糖系酵素とHIV複製の関連、好気的解糖とHIV複製の関連に関する研究を行った。その結果、HIV感染による細胞の好気的解糖は、高い感染性を有したHIVの産生につながることを明らかとした。本研究は、エネルギー産生を担う酵素や経路そのものがHIV複製において重要な役割を有することを明らかとしたものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
HIV根治療法は未だ確立されていない。この原因のひとつにHIVが標的とする単球やTリンパ球といった免疫細胞における「エネルギー代謝の変化」に着目した知見が少ないことがあると考えられる。本研究では、ウイルス粒子そのものにも着目し、HIV感染に伴って変化する糖代謝リプログラミングは質の高いウイルスの産生に寄与することを確認した。本研究成果は、HIV複製機構を解き明かすためには免疫細胞の状態に着目する必要があることを示し、免疫細胞の代謝制御を行うことで新たな抗HIV治療戦略が構築できる可能性を示唆する。
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