研究課題/領域番号 |
19K16701
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
住吉 麻実 関西医科大学, 医学部, 助教 (50779402)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | T細胞 / 自己免疫疾患 / 炎症性腸疾患 / 多発性硬化症 / 免疫応答 / 小胞輸送 / ADP ribosylation factor / ADP-ribosylation factor / pathogenic Th17 / 大腸炎 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内小胞輸送制御因子ADP-ribosylation factor (Arf)の阻害剤であるBrefeldin AはT細胞からのサイトカイン分泌阻害に用いられるが、全身性Arf欠損は胎生致死となるため、個体レベルの免疫応答においてArf経路の役割は不明であった。そこでT細胞特異的Arf欠損マウスを使用し、T細胞におけるArfの機能解明に取り組んだ。その結果、ナイーブCD4+T細胞移入大腸炎モデルを用いた解析から、Arfが自己免疫応答に関わるpathogenic Th17細胞の機能分化・生存維持を制御している可能性が示唆された。本研究では、pathogenic Th17細胞におけるArfの役割解明に取り組むと共に、自己免疫疾患に対する新規治療標的としての可能性を検証する。
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研究成果の概要 |
T細胞特異的Arf1/Arf6二重欠損マウスを用いた解析により、ナイーブCD4+ T細胞移入大腸炎モデルにおいて、Arf/Arf6二重欠損細胞を移入したマウスではコントロールと比較して大腸炎が著しく抑制されていた。大腸炎などの自己免疫疾患は、pathogenic Th17細胞が関与していることが知られているため、Arf欠損がpathogenic Th17細胞の分化・生存に影響すると予想したが、いずれも異常は認められなかった。一方、Arf欠損ナイーブCD4+ T細胞はTCR刺激に伴いアポトーシスが亢進していた。また、多発性硬化症のモデルにおいても、Arf欠損に伴い病態が顕著に抑制されていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究からは、Arf1とArf6は細胞内で異なる輸送経路を制御していると信じられてきたが、本研究により、Arf1とArf6が「TCR刺激におけるナイーブT細胞の生存維持」という特定の条件下では相補的に働くことが世界で初めて明らかとなった点に高い学術的意義がある。さらに、本研究を発展させることによりこれまで報告のなかったArfファミリーを介した小胞輸送制御とアポトーシス制御の関連を紐解くことに繋がる。加えて、Arf欠損に伴う自己免疫病態抑制の分子基盤が解明されるなら、自己免疫病態に対する新たな治療法開発に繋がるものと期待される。
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