研究課題/領域番号 |
19K16710
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
寺門 侑美 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (00803339)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 幹細胞 / 胃がん / マウスモデル / オルガノイド / Lgr5 |
研究開始時の研究の概要 |
胃がん発症の主な原因として慢性炎症があげられるが、詳細なメカニズムは明らかになっていない。 化学療法において薬剤抵抗性が問題となっているが、原因の一つとしてがん幹細胞の存在があげられる。このことから、がん幹細胞の制御機構の解明は新規治療法を開発するうえで重要な知見となるが、現在まで、胃がんにおけるがん幹細胞の存在は証明されていない。 本研究では、胃の正常幹細胞マーカーおよび他のがん幹細胞マーカーとして知られているLgr5遺伝子に注目し、炎症反応依存的な胃がん発生との関わりを明らかにすることによって、胃がん幹細胞の同定およびLgr5陽性幹細胞のがん悪性化進展における生物学的役割の解明を目的とする
|
研究実績の概要 |
胃上皮選択的に変異を誘発できる Cldn18-IRES-CreERT2 マウスを新たに樹立し、TCGAの胃がんデータベースで報告されている WNT ・RASシグナル、TP53 遺伝子に変異を誘導できるマウスと交配することで、ヒト転移性胃がんを再現できる新規胃がんマウスモデルの開発に成功した。これらのマウスに生じる胃がん組織と実際の患者の胃がん組織を詳細に比較解析することで、ヒトの進行性胃がんで見られる特徴や遺伝子発現が正確に再現されていることを確認した。 また、マウス胃がん組織から樹立したオルガノイドをマウスの胃に同所移植することで、胃がんの転移過程を再現し質の揃った大規模で迅速な解析を可能にする同所移植モデルの開発を行った。これらのモデルを用いた詳細な解析を通してLgr5 遺伝子を発現する胃がん細胞が、胃がんの発生・進行に重要な役割を果たしていることを突き止めた。また、生体内で Lgr5 陽性胃がん細胞を除去する薬剤を用い、胃がんの転移に対する Lgr5 陽性胃がん細胞の寄与を調べた結果、Lgr5 陽性胃がん細胞が胃がんの転移に必須である胃がん幹細胞であることを発見しました。さらに、Lgr5 陽性胃がん幹細胞を除去しつつ5-FUを併用することで、生体内で胃がんの進行・転移を効果的に抑制できることを明らかにした。
この結果は、ヒト胃がん組織にも存在する Lgr5 陽性胃がん細胞を標的とした治療法の開 発に大きな臨床的意義があることを示唆している。さらに、我々が開発した新たな胃がんマウスモデルは、胃がんの発生・進行・転移メカニズムの解明,新規診断薬や治療薬のスクリーニング・前臨床研究にも応用できる可能性がある。
|