研究課題
若手研究
癌免疫療法はほとんどの大腸癌において有効性が認められていない。免疫治療抵抗性の原因の究明が急がれるが、その機序は未だ十分に解明されていない。本研究では、マウス・ヒト双方の癌オルガノイドを用いた直腸局所・肝転移巣モデルにより、ヒト転移性大腸癌に類似したモデルで癌幹細胞の性質・機能分析を行う予定である。同モデルにICD誘導もしくは阻害剤と遺伝子編集技術、さらには既存の免疫チェックポイント阻害剤を併用することで、癌幹細胞による腫瘍免疫原性制御メカニズムを解明するとともに、腫瘍免疫原性調節による大腸癌新規治療法への発展を目指す。
大腸がんは、本邦のがん罹患の第1位、がん死の第2位を占める。近年注目される癌免疫療法は複数の癌腫において有効性が確認されているが、大腸癌においてはごく一部の症例のみでしか奏功せず、治療抵抗性メカニズムの解明、および新規治療ストラテジーの樹立が強く期待されている。一方、癌幹細胞は、癌の発生・維持に加えて浸潤や転移などで重要な役割を果たすとされている。本研究では、大腸癌幹細胞に高発現し、免疫原性を調節する因子の同定と、同分子の阻害が癌に及ぼす効果について検討した。それにより、ヒト大腸癌に対する、癌幹細胞を標的とした新規癌免疫療法の開発に向けた基礎的知見を得ることができた。
癌免疫療法は大腸癌に対しては、ごく少数のマイクロサテライト不安定性(MSI-high)癌を除き、大多数をしめるマイクロサテライト安定性(MSS)癌には有効性が認められていない。本研究を通じて、MSS大腸癌における免疫治療抵抗性が形成される機序解明のための基礎的知見を得ることができた。今後、同機構を標的とすることにより、大腸癌の免疫治療抵抗性を克服する新規癌免疫療法開発につながる可能性がある。また、癌幹細胞の存在が示唆される他の多くの癌種に対しても、あてはまる普遍性を持つ研究であり、本研究の知見が癌種一般に対する治療成績向上につながることが期待される。
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