研究課題
若手研究
腫瘍微小環境においてCAFsは、様々な液性因子を分泌し癌進展に関わっている。一方、胃癌はスクリーニングおよび治療法の進歩に伴い予後改善が認められるようになったが、進行胃癌患者に対しては依然として満足できる遠隔成績は得られていない。本研究の目的はストローマ由来の細胞外小胞に注目した解析により、これまで明らかになっていない新しい胃癌治療抵抗性の分子メカニズムを明らかにすることである。得られる研究成果は腫瘍間質をターゲットとした分子標的の創出につながり臨床的意義は大きいと考えられる。
がん関連線維芽細胞 (Cancer associated fibroblast: CAFs)が分泌する液性因子が抗がん剤感受性を制御することが示唆されてきたが、詳細な分子機構は明らかではなかった。本研究では、CAFsが分泌する細胞外小胞 (Extracellular vesicles: EVs)によって引き起こされる胃がんの抗がん剤抵抗性獲得メカニズムを明らかにした。さらにEVsの質量分析の結果、抗がん剤抵抗性を促進するCAF-EVs中のAnnexinA6を同定しその機能を解明した。今後、胃がんにおいてAnnexinA6やCAFsをターゲットにした新たな創薬開発に向けた研究の展開が期待できる。
進行した胃がんにおいては抗がん剤などの様々な薬剤が用いられているが、十分な病状の改善は得られていない。がん細胞周囲のがん微小環境の構成細胞の一つである、がん関連線維芽細胞 (CAFs)は様々な因子を分泌することでがんの悪性化を強めることが知られている。胃がんに対して抗がん剤治療が効きにくくなる「治療抵抗性」に関わる因子として、CAFsが分泌する細胞外小胞 (EVs)中のAnnexinA6 (アネキシンA6)が胃がん細胞に取り込まれることで、抗がん剤の効果が低下することが分かった。AnnexinA6やCAFsをターゲットにした新たな創薬開発の可能性を見出した。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Cancer Research
巻: 80 号: 16 ページ: 3222-3235
10.1158/0008-5472.can-19-3803