研究課題/領域番号 |
19K16736
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日比野 沙奈 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員 (30836424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | T細胞 / 腫瘍免疫 / オンコメタボライト / ポリアミン / 抗腫瘍免疫応答 / 腫瘍微小環境 / がん免疫 / DAMPs / oncometabolite |
研究開始時の研究の概要 |
低酸素・低栄養の腫瘍微小環境下では大量の細胞死が起こり、多くのヒト固形癌において壊死細胞領域の大きさは患者の予後不良と相関する。申請者は、壊死腫瘍組織から放出される低分子代謝物(oncometabolite)が、抗腫瘍免疫応答の要となるCD8+ T細胞の機能を負に制御する免疫調節因子(DAMPs;damage associated molecular patterns)として機能することを見出した。本課題では、担癌個体においてCD8+ T細胞が機能不全に陥る新規メカニズムを腫瘍由来DAMPsの機能を軸として解明し、それを標的とした難治・進行性固形癌の治療法の開発に向けた基盤の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
腫瘍局所は血管形成の異常により低酸素・低栄養の状態にあり、そのような過酷な微小環境へ暴露される結果、腫瘍組織内では大量の細胞死が生じる。本研究にて申請者は、ネクローシス癌細胞の代謝物セクレトームが、腫瘍局所におけるT細胞の機能抑制に寄与していることを明らかにした。特に、代表的ポリアミンであるSpermidineについて、これまで知られていた細胞内におけるオンコメタボライトとしての機能に加え、エフェクターT細胞応答のネガティブレギュレーターとしての細胞外における役割を見出すことに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CD8+ T細胞は抗腫瘍免疫応答の要となるが、固形がんの局所に浸潤しているT細胞の多くは、がんに対する攻撃力を失った“機能不全”状態にある。腫瘍浸潤T細胞が機能不全に至るプロセスの分子基盤、特にがん細胞側の因子の関与については未だ不明な点が多い。本研究より、腫瘍局所には細胞死を起こしたがん細胞から放出される免疫抑制性の低分子代謝物が豊富に存在し、CD8+ T細胞の機能抑制に寄与している可能性が示された。ネクローシス癌細胞の代謝物セクレトームは、がん免疫療法における新規治療標的として期待できる。
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