研究課題/領域番号 |
19K16742
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村松 史隆 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員 (90803627)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 血管新生 / がん / 生体イメージング / 神経膠芽腫 / 腫瘍血管 / 腫瘍血管新生 |
研究開始時の研究の概要 |
抗血管新生療法は腫瘍組織に酸素や栄養を供給する血管新生の抑制を目的としているが、ヒト臨床試験において際だった効果が認めらないことが多い。そのため申請者は、腫瘍組織に供給される血管新生の在り方について、生体イメージング解析による再検証を進めてきた。その結果、組織内における局所的な腫瘍細胞の運動・浸潤方向が、血管新生に強く関わることを発見した。本研究では、申請者が発見した「腫瘍細胞運動に追従する血管伸長」モデルによる血管形成に着目し、その重要性を明示するとともに分子機構の解明を目指す。腫瘍血管形成を完全に制御できる方法論の確立は、画期的な癌治療薬の開発に結びつくと期待できる。
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研究成果の概要 |
本研究では、血管内皮と組織内における癌細胞の運動性との関連を軸としたシングルセルレベルの生体イメージング解析を通じて、これまで提唱されてきた腫瘍血管新生モデルとは異なる新たな血管供供給モデルを構築し、その根幹となるメカニズムの解析を目指した。VEGFシグナルにより誘導される腫瘍血管の組織内分布様式は、辺縁領域におけるがん細胞の浸潤運動に従うことが明らかとなった。この現象は多様ながん組織においても認められ、腫瘍細胞間の接着性による組織結合性ではなく、浸潤性の高いがん細胞集団がVEGFを強く発現すつことで腫瘍血管先端細胞の伸長ベクトルを制御することが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、血管内皮と組織内における癌細胞の運動性との関連を軸としたシングルセルレベルの生体イメージング解析を通じて、これまで提唱されてきた腫瘍血管新生モデルとは異なる新たな血管供供給モデルの構築とそのメカニズムを解析した。さらに腫瘍細胞集団一部のサブセットにおいて、この新しい血管供給モデルの誘因する特異的な細胞群が存在することが判明した。さらにこの細胞群は血管新生阻害剤に耐性を示すがん種において、顕著に認められることから、血管新生阻害剤が多くの臨床試験で有効な生存期間の延長が得られていない問題を解決の糸口となり、新概念に基づくがん治療の開発に繋がると期待できる。
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