研究課題/領域番号 |
19K16765
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
眞野 恭伸 千葉大学, 未来医療教育研究センター, 特任助教 (80577362)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 癌 / Notchシグナル / TGF-βシグナル / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、Notchシグナルの活性化とTGF-βシグナルの不活化の相互作用による癌浸潤機序の解明を目的とする。 研究計画として2019年度は、共培養実験による単一細胞での遺伝子発現解析から、新規癌浸潤機序を明らかにする。2020年度には新たに同定した候補因子を標的とした浸潤機構の阻害を検討する事で、臨床応用への可能性を検証する。 本研究計画により、JAG1-Notchシグナルの老化誘導機構という独自の観点から、RASシグナル活性化とTGF-βシグナル不活化のクロストークによる複雑な発癌機構の新規重要メカニズムを明らかにする。そしてその研究成果から癌浸潤阻害などの新たな治療戦略の礎を築く。
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研究成果の概要 |
RASシグナルの活性化およびTGF-βシグナルの不活化は、膵臓癌、大腸癌、胃癌などの様々な癌種において認められる。本研究ではRASシグナルの下流であるNotchシグナルの老化誘導機構に着目する事で、Notchシグナルの活性化およびTGF-βシグナルの不活化のクロストークによる癌化メカニズムの解明を目指した。RNA-Seq解析の結果、JAG1強制発現かつTGFBR2をKDした細胞では、細胞老化誘導時におけるp21 及びp15の発現上昇が抑制されていた。さらに正常細胞と共培養させるとJAG1活性化かつ老化誘導を回避した細胞が正常細胞を巻き込みながら増殖し、正常細胞に老化を誘導する事が確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Notchシグナルは、癌においては発癌性及び抗腫瘍性の両面性を持つ可能性が示唆されているが、今回の解析によって、癌細胞ではTGF-βシグナルの不活化やp53の変異などにより癌抑制的に機能しないが、周囲の正常細胞では増殖抑制的に機能する事が明らかになった。即ち癌細胞自身は老化せず、周囲の正常細胞を老化させていた。癌細胞はこの機構を巧みに利用して浸潤・転移を加速させている可能性があり、非常に興味深い結果である。将来的にさらに感度の高いGSIやNotchリガンドを阻害する分子標的薬が開発されれば、Notchシグナルを標的とした癌治療の臨床応用ヘの可能性もあり得るのではないかと考える。
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