研究課題/領域番号 |
19K16801
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
土岐 俊一 徳島大学, 病院, 助教 (60837194)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | FOXM1 / 肉腫 / 酸性環境 / チオストレプトン / 細胞周期 / 細胞増殖 / 遊走 / PLK1 |
研究開始時の研究の概要 |
古くから悪性腫瘍組織においては酸性環境が形成されていることが知られている(Warburg effect)。近年、悪性腫瘍ではこの酸性環境が肉腫細胞の腫瘍進展に影響することが報告されている。しかし肉腫と酸性環境について述べた報告はない。本研究では酸性環境が肉腫に与える影響、腫瘍進展を促進させる因子を同定する。また我々の先行研究により、酸性環境下ではいくつかのがん関連遺伝子の高発現が明らかとなっている。その中で、特に著明であったFOXM1の肉腫細胞増殖・腫瘍進展への影響を解析する。さらにin vivo実験を含むトランスレーショナル研究を経て、FOXM1を標的とする新規治療法を開発する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、酸性微小環境にある軟部肉腫において、転写因子として細胞周期・増殖に関わる遺伝子を賦活化し、上皮間葉転換、細胞浸潤、血管新生やDNA損傷・修復など多面的に腫瘍進展へ関与するとされるFOXM1の高発現が明らかとなった。また酸性環境暴露の有無での網羅的解析では、FOXM1をはじめとして、細胞周期に関わる標的遺伝子PLK1、CCNB2、CDC25B、CENPF、AURKBの発現が酸性環境で著明に亢進することが示された。さらに、脂肪肉腫細胞株でFOXM1ノックダウンや阻害剤チオストレプトン処理により、酸性環境細胞ではより顕著に、細胞増殖、遊走能、浸潤能の抑制を認めた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
希少がんである肉腫に対する治療薬開発は、少ない症例数やリソース、多様な組織型、企業の採算性などの理由から、今日のがん医療の重要な課題である。FOXM1は一般に悪性腫瘍において高発現で、正常の組織では一部の組織を除いてほとんど発現がなく、またその発現が予後に関与するとされている。本研究成果により、FOXM1は特に脂肪肉腫における選択的治療の標的となり得ることが示された。また、本研究のデータでも粘液線維肉腫や血管肉腫などでFOXM1高発現が認められたように、FOXM1抑制因子(がん抑制遺伝子)TP53遺伝子異常を有する症例が多い軟部肉腫においては、FOXM1標的治療法の臨床応用が強く期待される。
|