研究課題/領域番号 |
19K16815
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
小西 惇 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, 研究員 (20837968)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バイオマーカー / エクソソーム / 大腸癌 / 細胞内シグナル伝達 / 腫瘍マーカー / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌は早期発見により比較的良好な予後が期待される悪性腫瘍であるが、その早期診断に利用可能な血液腫瘍マーカーが存在しない。本研究では、大腸癌組織が分泌する細胞外分泌小胞(エクソソーム)に高発現する、新規バイオマーカー候補タンパク質TMAM(Exo-TMAM)に注目した。血漿中のExo-TMAMを測定可能なELISA系を構築し、早期診断マーカーとしての性能評価試験を行うと共に、同分子の分子生物学的機能解析を実施し、診断のProof-of-concept(POC)を取得する。本研究により、大腸癌の早期発見が可能な血液検査の開発や、大腸癌微小環境制御に関する新たな機構の解明に繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、生存状態の大腸癌組織が分泌する細胞外分泌小胞(エクソソーム)の網羅的プロテオーム解析から得られた、新規大腸癌早期診断バイオマーカー候補タンパク質TMAM(Exo-TMAM)について、(a)大腸癌早期診断マーカーとしての診断能の評価、及び、(b)TMAMが大腸癌組織由来エクソソーム上で高発現する意義や、大腸癌の発症や進展にどのように寄与しているかを解明することを目的とした。初年度に、(a)において、Exo-TMAMサンドイッチELISAの条件の至適化とELISAスタンダードの作成を完了し、(b)において、TMAM強過剰発現大腸癌細胞株(HCT116-TMAM)を樹立して、TMAMの過剰発現やTMAMリガンドの添加が、細胞増殖を促進するという結果を得ていた。 そこで本年度は、TMAMが関与する大腸癌の発症・進展メカニズムを解明する為に、(b)のTMAMの分子生物学的機能解析を実施した。まず、公共の遺伝子発現量データベース上でTMAM 発現量が特に高いT84大腸癌細胞株を用い、TMAM遺伝子をsiRNAでノックダウンしてからTMAMリガンド添加実験を行なったところ、コントロールsiRNA処理時に比べて細胞増殖が抑制された。一方、HCT116-TMAM細胞において、リガンド添加後のTMAM下流の遺伝子群の発現量をRT-qPCR法にて解析したところ、コントロール細胞(HCT116)に比べてβ-カテニンの発現量増加が認められた。 以上の結果を総合すると、大腸癌細胞において、「TMAMリガンド - TMAM - β-カテニン」から成るシグナル伝達経路が上方制御されていることが明らかになった。大腸癌細胞におけるTMAMの高発現によってβ-カテニンの発現量が増加し、その更に下流の多様な細胞増殖関連遺伝子群が介在する増殖シグナルの制御異常が引き起こされていると考えられた。
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