研究課題/領域番号 |
19K16819
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 岡山大学 (2021-2023) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2019-2020) |
研究代表者 |
谷岡 真樹 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60573045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 重複がん / 重複癌 / 全エクソン解析 / BRCA1/2 / 相同組み換え異常 / BCRA関連癌 / HRD / 遺伝子シグネチャー / 相同組み換え修復機能 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は乳癌全エクソン解析から得られるコピー数変化と遺伝子シグネチャーデータを組み合わせ、HRDの代替指標としての生殖細胞系BRCA1/2変異の新規予測モデルHRDualを開発した。卵巣癌大規模データセットにおいてHRDualが生殖細胞系BRCA1/2変異を予想できるか確認する。さらに国立がん研究センターで集積される生殖細胞系BRCA1/2変異を有する乳癌患者40名にHRDualを適用し、PARP阻害薬の効果を予測可能であるか確かめる。さらに生殖細胞系BRCA1/2変異を有しない乳癌患者40名の中にHRDualスコア高値となる腫瘍の存在を示し、PARP阻害薬が奏効する患者を選別する。
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研究実績の概要 |
2008年から19年の間に国立がん研究センターで診断されたDPBRCA患者27名の腫瘍46例とマッチした正常組織27例について全エクソームシーケンスを実施した。 生殖細胞変異はClinvarとSnpEffに基づいて検出された。ホルマリン由来の変異を除外し、腫瘍のHRDを反映するMutation Signature 3 (Sig3)を算出した。14人(52%)がBRCA2(7人)、BRCA1(6人)、ATM(1人)、TP53(1人)、MRE11(1人)に生殖細胞変異を有していた。乳・卵巣では65%(13/20)が生殖細胞変異を有し、71%(12/17)がSig3陽性であったが、乳・膵臓では7例中変異またはSig3陽性は1例(14%)のみであった。乳がん・卵巣がんの二重原発症例では生殖細胞変異が高頻度に認められ、HRDを有する腫瘍のみが再発したことから、PARP阻害剤による治療戦略が提案される可能性がある。乳がん・膵臓がんの二重原発患者の多くは、加齢に伴う偶発的なものであると思われた。 乳癌と膵臓癌を重複した1名は、LMO2の生殖細胞変異が唯一の候補として見出された。さらに、彼女は乳房と胃にびまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)を2回経験していた。LMO2はDLBCLの予後因子として知られており、53BP1と相互作用して相同組み換えを阻害し、びまん性大細胞型リンパ腫のPARP阻害に合成致死を与えることも知られている。Variant allele frequency(VAF)は生殖細胞では52%であったが乳腺腫瘍で68%とさらに高く、LOH scoreは乳腺腫瘍で24%と高値であった。以上からLMO2の新規変異は、PARP阻害剤に反応するDLBCLLおよびBRCA関連癌の原因となる可能性があると考えられた。 さらに現在神奈川県立がんセンターの重複がんの全エクソン解析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神奈川県立がんセンターのサンプルは理化学研究所とAMED_BINDSの枠組みを活用して解析を行っているため、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
さらに現在神奈川県立がんセンターの重複がんの全エクソン解析を継続する。
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