研究課題/領域番号 |
19K16867
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 孝通 九州大学, 大学病院, 講師 (40632964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | OVOL / 有棘細胞がん / OVOL1 / OVOL2 / 有棘細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
人体の最も外側に位置する皮膚は紫外線などの様々な刺激を受け、しばしば癌(有棘細胞癌など)を生じます。しかし、皮膚癌の一種である有棘細胞癌やその前の段階である日光角化症は進行が比較的遅いという面白い性質を持ちます。この研究では、OVOLという新しい分子に着目して、なぜ有棘細胞癌や日光角化症は急激に進行しないのかという謎に迫ります。もしこの謎を解くことが出来れば、皮膚がんはもちろんのこと、皮膚以外の癌や進行が早い癌など、あらゆる癌に対して、進行を遅らせることで癌と戦うという新しい治療戦略を開発できる可能性が見えてきます。
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研究成果の概要 |
OVOL1,OVOL2ともに前がん病変である日光角化症では過剰発現し、有棘細胞がんでは発現が低下していた。さらに上皮間葉転換の重要な調節因子であるZEBは日光角化症で発現が低下、有棘細胞がんで増加し、OVOL2と負の相関関係にあった。細胞株を使った実験では、OVOL1/2のそれぞれのノックダウンでZEB1はmRNAレベ ル、蛋白レベルで発現増加し、さらにOVOL2のノックダウンでは培養細胞の浸潤能が増加していた。皮膚有棘細胞がんの前がん病変である日光角化症から有棘細胞がんに進展するにあたり、OVOL2が上ZEB1を調節することで癌への進展を抑制している可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
皮膚有棘細胞がんの前がん病変である日光角化症は非常にありふれた病変である。ほとんどの日光角化症は表皮内病変として皮膚の浅い部分に留まるが、ときに有棘細胞がんへと進展し全身に転移することがある。全身に転移した皮膚有棘細胞がんに対する有効な治療はいまのところ見つかっていないが、日光角化症が有棘細胞がんに進展する詳細なメカニズムを解明できれば、有棘細胞がんそのものの予防へとつながる。本研究では新規転写因子OVOL2が上皮間葉転換の重要な因子であるZEB1を介して日光角化症が有棘細胞がんへの進行を抑制している可能性を示した。
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