研究課題/領域番号 |
19K16876
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
原 雄大 近畿大学, 薬学部, 助教 (20803779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ASCT2 / KRAS / 大腸癌 / モノクローナル抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、分子標的治療薬、さらに癌免疫療法の開発により、癌治療の発展は目覚ましいが、未だ治療法が無い難治性の癌も存在する。その中の1つに、KRAS遺伝子が変異した癌がある。本遺伝子の変異は、大腸癌や膵癌、肺癌など種々の癌種で報告されている。本研究では、我々が独自に作製したグルタミントランスポーターASCT2に対するモノクローナル抗体を用い、KRAS遺伝子の変異した癌に対してASCT2が治療標的として有効であるか検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では、申請者らが独自に取得したグルタミントランスポーターASCT2を認識するモノクローナル抗体による、抗がん効果について検討した。本抗体の処置により、KRAS遺伝子が変異したヒト大腸癌細胞のグルタミン取込みが有意に減少した。さらに、これらの細胞由来の腫瘍の増殖も有意に低下した。しかしながら、KRAS遺伝子が変異していない大腸癌細胞では、本抗体の処置によるグルタミン取込みおよび腫瘍増殖に変化は認められなかった。以上の結果より、KRAS遺伝子が変異した大腸癌において、ASCT2は有用な治療標的である可能性が考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
KRAS遺伝子は、多くのがんで変異が認められる。分子標的治療薬の登場により、がん治療は格段に進歩したが、未だKRAS遺伝子に変異のあるがんに対しては治療法が存在しない。また、KRAS遺伝子が変異した大腸癌以外のがん種においても、その生存・増殖がグルタミン代謝に非常に強く依存していることが知られている。したがって、本研究で見出したASCT2の阻害によるグルタミン取込みの抑制がKRAS遺伝子変異の大腸癌の増殖を阻害するという知見は、KRAS遺伝子に変異のある様々ながん種に対する治療戦略の開発に貢献出来ると考えている。
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