研究課題/領域番号 |
19K16882
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51010:基盤脳科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2021-2022) 東京医科歯科大学 (2020) 東北大学 (2019) |
研究代表者 |
寺尾 勘太 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (90825449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 記憶 / 学習 / ドーパミン / コオロギ / ショウジョウバエ / 消去 / 受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
過去の記憶と現実にズレが見つかった場合は、過去の記憶を修正し、現実に即して行動することは重要である。こうした記憶の修正機能の破綻は、統合失調症や強迫神経症などに繋がる。 空腹のハエは匂いとショ糖の関係性を連合学習可能である。この訓練の後、ハエは訓練された匂いへ積極的に接近する。この接近行動の経時変化を観察したところ、当初ハエは積極的に匂い探索をするが、徐々にその行動が修正されることを見出した。匂いへの接近はショ糖獲得に向けたものであるが、実際にはショ糖は得られず、ハエの記憶と現実にズレが見いだされ、過去の記憶が修正されたと解釈できる。本研究はこの現象を記憶回路のドーパミン制御に着目して理解する。
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研究成果の概要 |
記憶と現実にズレが見つかった場合は、過去に作られた記憶を修正し、現実に即して行動することが重要である。ほ乳類と昆虫の連合学習におけるドーパミン系の重要性を鑑みて、昆虫でもドーパミン系が記憶の修正に寄与する、との仮説の検証を試みた。 本研究の成果として、記憶の修正についての実験系である消去および過剰予期効果について、コオロギで再現可能であるとの結果を得た。過剰予期効果の再現は無脊椎動物で初であり、論文として報告した。消去および過剰予期効果におけるドーパミン系の機能について、予備的な結果を得た。今後の更なる研究が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
記憶の修正機能の破綻は、依存症やPTSD (心的外傷後ストレス障害) 、統合失調症や強迫神経症など多数の精神疾患に繋がる。したがって、その検証のための行動実験系と神経メカニズムの解明が必要である。 消去は依存症やPTSDの原因の一端であると共に、その治療にも用いられてきた。本研究で明らかにした消去とその類型である過剰予期効果の性質は、将来的には、これらの治療の基盤となることが期待される。
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