研究課題/領域番号 |
19K16904
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 剛士 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (70709881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 神経変性疾患 / Transglutaminase 1 / アストロサイト / プリオン病 / 神経変性 |
研究開始時の研究の概要 |
プリオン病に罹患した動物の脳内ではグリア細胞の活性化が認められる。炎症性に活性化したミクログリアが神経傷害性に働くとする一方、アストロサイトの病態生理学的意義は十分に理解されていない。本研究では、プリオン病モデルマウスの脳の神経脱落部位において、活性化アストロサイトの一部に発現誘導されるTransglutaminase 1 (TGM1) に着目し、TGM1分子とTGM1陽性アストロサイトのプリオン病の病態への関与を精査する。本研究により、プリオン病におけるTGM1分子とTGM1陽性アストロサイトの病態生理学的意義を明らかにすることで、アストロサイト亜集団を標的とした治療法開発の足掛かりとする。
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研究成果の概要 |
多くの神経変性疾患でグリア細胞が形成する脳内環境の変化が神経変性に関与する。しかしプリオン病におけるアストロサイトの病態生理学的意義は十分に理解されていない。我々はプリオン病モデルマウスの病態解析によりトランスグルタミナーゼ1 (TGM1) が神経脱落部のアストロサイトに発現誘導されることを見出した。プリオン感染初代神経細胞とアストロサイトの共培養系を用いてTGM1発現と神経変性の関係を超解像顕微鏡で解析したところ、TGM1とプリオン病病原タンパクとの相互作用が示唆されたが神経変性効果はみられなかった。そこでTGM1陽性アストロサイトの機能解析を行うためのアデノ随伴ウイルスベクターを開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
プリオン病モデルマウスの脳内神経脱落部位でアストロサイトにTGM1が発現誘導されること、アストロサイトでのTGM1の発現がプリオン感染神経細胞に変性効果を示さないことを考えると、TGM1の直接的な神経変性への関与は薄いと考えられる。最近、TGM1が神経保護的なA2アストロサイトのマーカーとする報告が蓄積している一方で、アストロサイト亜集団をA1/A2の分類に留めず、神経変性疾患特異的なアストロサイト亜集団を考慮すべきという考え方も普及してきている。本研究で示されたウイルスベクターを用いた方法論は、TGM1陽性アストロサイトを含む疾患特異的なアストロサイト亜集団の機能解析への応用が期待できる。
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