研究課題/領域番号 |
19K16922
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
水野 将行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40748480)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 認知予備能 / アセチルコリン / 海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチド(HCNP) |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病ADのアミロイド病理変化が強くとも認知症状を示さない例が存在し、認知予備能CRと呼ばれるが、その機序は不明である。 神経伝達物質の一つであるアセチルコリンACh分解を抑制してコリン作動性神経ChoNを賦活する薬はADの認知機能を改善するが、ChoNはいずれ変性・脱落するため、その効果は一時的である。ACh量の維持やChoNの保護が、CR機序に関与する可能性がある。 本研究者の教室が発見したペプチドHCNPは、培養細胞でACh産生を促進し、海馬切片にてアミロイドの持つ神経活動抑制作用に対して保護的に作用する。個体内でもそれらの作用を有するかどうかを、本研究で明らかにすることによりCR機序からのAD創薬が期待される。
|
研究成果の概要 |
内側中隔核から海馬に投射するコリン作動性神経は学習・記憶に重要である。海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチドHCNPは培養中隔核でアセチルコリンACh産生を促進する。最近、海馬神経活動を促進するθ活動がHCNPノックアウトマウスKOで低下していることを示し、HCNPが海馬でθ振動を発生させ、CA1上昇層でACh放出を促進すると考えられた。 本研究で、KO中隔核ChAT陽性細胞数は著変ないが、KO海馬ACh濃度(マイクロダイアリシス法)・VAchT低下を示した。KOではシナプス小胞へのACh取込が低下していると考えられた。 以上から、HCNPは中隔核-海馬のACh調節に重要な役割を担う可能性を示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
HCNPによるAChを介したコリン作動性神経の賦活によって、海馬神経活動の維持に関与する可能性を示した。また、既存の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬とは異なるメカニズムでAChを調整していることが考えられた。 我々はHCNPは加齢で減少していることを報告している。またHCNPを過剰発現するマウスでは、AD病理の一つであるアミロイドによる海馬神経活動の抑制を阻止できることも報告している。 上記により、HCNP維持が海馬神経活動維持に関与する可能性が示され、またコリン作動性神経活動とアミロイド仮説を介して、CRメカニズムの一部が明らかになり、創薬の新たな分子標的になる可能性がある。
|