研究課題/領域番号 |
19K16932
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
杉村 弥恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20825997)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 全身性炎症 / 外側腕傍核 / 扁桃体中心核 / 中脳水道周囲灰白質 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / シナプス伝達 / 痛覚過敏 / 炎症 / 腕傍核 / 扁桃体 / 光遺伝学 / 化学遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
痛みは「不快な感覚的・情動的体験」であり、慢性痛に伴う痛覚過敏は通常は無~低侵害性の刺激が強い痛みを生じさせるため、患者を苦しめる。全身性炎症による痛覚過敏には脳内痛みネットワークの可塑的変化が関与していると想定されるが、その詳細な機序は未解明である。本研究では1)全身性炎症における侵害受容情報や炎症情報を伝達する腕傍核―扁桃体中心核 (CeA) 経路およびCeA局所回路と出力系の可塑的変化、2)痛覚過敏に関わる投射依存的・分子マーカー特異的なCeAの細胞集団を明らかにする。脳内痛みネットワークの可塑的変化が痛覚過敏を引き起こす機序を解明することで、難治化する慢性痛の治療法の確立につなげる。
|
研究成果の概要 |
炎症が痛みを引き起こす仕組みを解明するために,痛覚過敏を呈する全身性炎症モデルマウスを用いて,炎症・侵害受容情報を処理する外側腕傍核 (LPB) ,その入力を統合する扁桃体中心核 (CeA),そして,疼痛閾値を制御する中脳水道周囲灰白質 (PAG)を結ぶ神経回路のシナプス伝達を解析した.PAGに投射するCeAニューロンがLPBからの直接的興奮性入力とCeA局所回路を介した間接的抑制性入力を受ける事実,および,全身性炎症がこの興奮性入力を増大しCeA局所回路活動の変調を生じさせる事実を明らかにした.炎症による痛覚過敏の発症にこれらの扁桃体シナプス伝達の可塑的変化が関与する可能性が示された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は初めてPAGに投射するCeAニューロンからLPB由来シナプス入力に対する応答を記録した.これまで離れた神経核を結ぶネットワークをシナプスレベルで詳細に解析することは技術的に困難であったため,本研究で得られたデータは貴重である.痛覚過敏を呈する全身性炎症モデルにおいてLPB-CeAシナプス伝達の可塑的変化を捉えたことは今後の痛みに関する脳内ネットワークの全容解明と痛覚過敏を伴う慢性痛の新たな治療法の開発に寄与すると期待される.
|