研究課題/領域番号 |
19K16958
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
野本 順子 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (30601322)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | クローン性造血 / CHIP / 造血器腫瘍 / エクソーム解析 / 白血病 / AML/MDS / 二次性白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)の発症には体細胞変異を持つ同一クローン細胞が増殖するクローン性造血(CHIP)が深く関係している。このCHIPはAMLを発症しない血液疾患や一般人にも認められ、加齢に伴い増加し、自然に体細胞変異が蓄積することが分かっている。最近の研究で、CHIPが持つ遺伝子変異の種類や量が多いほど、AMLなどの悪性疾患を発症するリスクが高いことが明らかとなってきた。本研究では、AMLへの進行を予測し予防するためのバイオマーカーを探索することを目的とし、CHIP遺伝子変異について、AML発症群と非発症群の両群で発症までの検体を経時的に解析する。
|
研究実績の概要 |
加齢に伴い健常人でも造血器腫瘍と同じような体細胞性の遺伝子変異を持つ同一クローン細胞が増殖するクローン性造血(CHIP)が認められ、65歳以上の高齢者の約10%においては、白血病などに関する体細胞遺伝子変異を有するCHIPが存在し、80歳以上ではその存在は50%にも上がることがわかってきている。CHIPは骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)の発症と深く関係し、一次がん治療後の二次性AMLの発症確率が10倍以上に増加することがわかってきた。 そこで本研究では、主にAMLやAMLの前段階である骨髄異形成症候群および骨髄不全症候群を含む白血病、治療関連の二次性AMLなどの骨髄性腫瘍疾患、ならびに非腫瘍性の血液疾患を対象に、AML発症に至るまでのCHIP遺伝子変異の挙動を明らかにするため、対象症例について経時的な検体収集を行い、ゲノム解析によるCHIP関連遺伝子変異の探索と、AML発症群に特徴的なCHIPの遺伝子変異の経時的な変化を解析し、その発症や予後との関連を解明することを目的とした。 当初対象症例を骨髄性腫瘍に絞り経時的な検体収集行ってきたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け経時的な検体の収集および新規症例の追加が困難となり、骨髄性腫瘍以外の造血器腫瘍の患者検体を含めて検体の収集を行った。本年度までに、38症例(骨髄性腫瘍5例、リンパ性腫瘍33例)の検体を取得しており、このうちリンパ性腫瘍24症例についてはエクソーム解析を実施し、次世代シーケンサーでのシーケンシング工程まで完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響があり骨髄性腫瘍患者の経時的な検体の収集および新規症例の追加が非常に困難であった。そのため、リンパ性腫瘍患者を含めた造血器腫瘍疾患と非腫瘍性血液疾患を対象として再検討することとし、38症例の検体を取得した。 ランニングコストの面から、シーケンシングには一定の検体数と、検体の種類および質に合わせた処理を行う必要がある。本年度は解析のための検体準備が整ったリンパ性腫瘍24症例についてシーケンシング工程を完了している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに統計学的解析に十分な数の骨髄性腫瘍患者および非腫瘍性血液疾患の検体が収集できておらず、次年度も検体の収集は継続して行う。また、新型コロナウイルス感染症の影響により各患者の外来頻度も減ったことから、経時的な検体採取が研究期間中には困難であるため、経時的に収集できていない検体も含めてゲノム解析を行っていく。リンパ性腫瘍を含めることにより予定より検体数が増えることから、次世代シーケンスによるゲノム解析はエクソーム解析のみを行う。 エクソーム解析から造血器腫瘍の発症時に特徴的なCHIPの遺伝子変異を抽出する。経時的な検体が得られている症例については、初発や再発に至るまでのCHIPの変異量変化について評価する。また造血器腫瘍発症群と非発症群でのCHIPの違いについても評価する。 本研究は今後も検体収取とゲノム解析データの蓄積を継続的に行っていき、造血器腫瘍発症のバイオマーカーとなり得るCHIPの存在を明らかにしていきたい。
|