研究課題/領域番号 |
19K16992
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
小池 佑果 昭和大学, 薬学部, 講師 (10644479)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 漢方 / お血 / 東洋医学 / 血液凝固 / トロンビン / 月経困難 / 不定愁訴 / 血液粘度 / 血小板凝集 / トロンビン活性 |
研究開始時の研究の概要 |
「お血」は「血」が滞ることを示す東洋医学における基本概念の1つである。お血は西洋医学の微小循環障害や血行障害に近いとされ、高血圧や虚血性障害の患者に多く見られる。お血の症状は血液粘度上昇や血小板凝集増進として確認され、これらは血液流動性の低下に繋がると報告されている。しかし、お血治療薬の作用機序について報告は少ないため、作用機序解明と新たなお血治療薬を提案する事を目的として本研究を行う。即ち、①お血治療薬が作用する因子を特定し②特定された因子に対する活性成分を明らかにする。③モデルマウスに活性成分を投与し血流を評価することでお血に対する効果を明らかにし、今後のお血治療薬の開発に貢献する。
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研究成果の概要 |
本研究は、日本古来の医学である漢方医学において、独特な病態である「お血」に着目した研究である。「お血」は、血の流れが滞っている状態で、症状としてあざやくまなどが挙げられ、慢性疾患や婦人科系疾患の患者さんに多く見受けれられる。我々は10種のお血治療薬について、血液凝固系と血液線溶系に関与する因子への影響を検討した。本研究結果から、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)が最も血液凝固時間を延長し、次に血液凝固因子であるトロンビンを阻害すること、更にその活性として、アントラキノン骨格を有する化合物2種を単離し構造を同定した。以上のことから、お血治療薬がトロンビンを阻害することで作用することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、これまで不明であった漢方薬の作用機序の一端を解明した。つまり、お血の治療薬の作用点として新たにトロンビンが追加され、既存の抗トロンビン薬がお血治療に利用できる可能性を見出した。また、「お血」が血液凝固系の因子であるトロンビンに関与していることが示唆された。更に、これまで抗トロンビン薬として未利用の化合物の抗トロンビン作用を明らかにしたことで、新たなトロンビン阻害薬のリード化合物の候補が加わった事は学術的に意義がある。これらのことから漢方薬のエビデンスが構築されたことで、漢方治療を積極的に利用する医師が増え、より国民が健康で過ごせる日常を増やすことに繋がることに社会的意義がある。
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