研究課題/領域番号 |
19K17010
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小早川 優子 九州大学, 大学病院, 医員 (40733788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 電気シナプス / コネキシン36 / 変異SOD1 / Cx36 |
研究開始時の研究の概要 |
神経細胞間の情報伝達機構には、神経伝達物質がシナプス後膜の受容体に結合する化学シナプスの他に、隣接する神経細胞膜上のConnexin(Cx)蛋白どおしが形成するgap junctionを通じてイオンや小分子が直接細胞間を移動する電気シナプスがある。私たちはこれまでに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの腰髄前角では、電気シナプスを形成する代表的Cx蛋白であるCx36が病初期より減少していることを見出している。本研究では、Cx36が形成する電気シナプスの減少が、脊髄神経細胞の電気活動に及ぼす影響を明らかにし、電気シナプスを標的としたALSの新規治療法開発をめざす。
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研究成果の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のヒト剖検例及びモデルマウスの腰髄では、神経細胞間の情報伝達を担う電気シナプスを形成するコネキシン36(Cx36)の発現が低下していることが報告されている。本研究では、Cx36の脱落がALSの運動神経変性にどのように関与しているか、運動神経変性を抑制するための治療標的となりうるかを、ALSモデルマウスを用いて検討した。その結果、脊髄の運動ニューロンではCa2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡ(CaMKⅡ)サブクラスのうちCaMKⅡγ及びCaMKⅡβがCx36の可塑性を調整し、Cx36が形成する電気シナプスを回復するための標的候補となる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ALSは未だ病態の全容が解明されておらず、進行抑制効果が証明された治療薬が近年実用化しているものの、根治的治療法または症状の改善が得られる治療法のない難病である。本研究の結果、ALSの治療標的となりうる新たな候補標的が示唆された。さらなる解析を続けることで、従来の治療薬とは異なる作用機序の治療薬開発につながる可能性がある。またCx36が形成する電気シナプスは中枢神経系に広く発現しており、外傷・てんかん・虚血・炎症への関与が示唆されている。本研究結果は、これらの疾患に関しても新たな病態解明や治療薬開発へとつながる可能性がある。
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