研究課題/領域番号 |
19K17022
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
権 秀明 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 研究員 (70812395)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | Sulfonylurea receptor / TDP-43 / 加齢性海馬硬化症 / 代謝 / 神経変性 |
研究開始時の研究の概要 |
スルフォニル尿素受容体(Sulfonylurea receptor, SUR1, 2)はATP感受性K+(KATP)チャネルの活性調節サブユニットとして機能する。近年SUR2が、TAR DNA-binding protein 43 kDa (Tardbp/TDP-43) 病理が高い頻度で観察される加齢性海馬硬化症のリスク因子であることが報告された。しかし加齢性海馬硬化症発症過程において SUR が果たす役割は明らかでなく、またその病態を再現するモデル動物も報告されていない。本研究では、SURの機能低下に焦点をあて、加齢性海馬硬化症の発症機序、TDP-43病理形成メカニズムと意義を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
ショウジョウバエモデルにて、SUR機能欠損が加齢依存的な神経機能障害及び神経変性を惹起しないが、寿命を短縮することが確認された。興味深いことに、SURの機能欠損はTDP-43の総量またはリン酸化レベルの上昇へ与える影響は認められなかったが、TDP-43の神経毒性を増大し、神経特異的にTDP-43を発現しているハエの生存率を低下させることがわかった。最後に、網羅的なメタボローム解析により、SURの機能欠損はハエの脳の代謝異常を引き起こすことが認められた。これらの結果はSURの機能欠損が脳の代謝機能を破壊し、TDP-43の神経毒性を増大することが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SUR は糖尿病と心筋症、加齢性海馬硬化症のリスク因子であることが報告された。しかし、Surの欠損が神経変性疾患の発症・進展における意義は未だ不明である。本研究では、ショウジョウバエモデルにおけるSur機能欠損が寿命、代謝へもたらす影響を明らかにし、TDP-43の神経毒性を強めることを証明した。これらの結果は加齢性海馬硬化症のみならず、TDP-43病理を呈する神経変性疾患の普遍的なメカニズムの理解と新たな予防・治療戦略の確立につなげることが期待できる。
|