研究課題/領域番号 |
19K17036
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲水 佐江子 九州大学, 大学病院, 医員 (30822994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | neurofascin 155 / CIDP / 自己抗体 / 振戦 / 表面筋電図 / 脳神経 / 視神経 / 抗NF155抗体陽性CIDP / NF155 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の一部に傍絞輪部蛋白neurofascin 155 (NF155)に対する自己抗体が関与している。抗NF155抗体が陽性のCIDPでは、高い頻度で振戦を認めるが、責任病巣は未だ不明である。振戦は責任部位により性質が異なることが分かっており、表面筋電図検査を行うことで振戦を定量的に評価できる。抗NF155抗体陽性のCIDPの振戦を表面筋電図で評価し、責任病巣を推定する。また、患者由来モノクローナル抗NF155抗体を用いて抗NF155抗体陽性CIDPの振戦を動物モデルで再現し、推定した振戦の責任部位に基づき、治療薬を見出すことを目的とする。
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研究成果の概要 |
抗neurofascin155(NF155)抗体陽性慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)患者5名を対象に、表面筋電図検査を施行し姿勢時振戦の波数解析を行った。結果、5名中4名で記録可能であり、2名では11.3±1.2Hz、残り2名では6.2±0.6Hzと周波数の違いにより2群に分けられた。振戦の責任病巣の違いによることが示唆された。また、抗NF155抗体陽性症例13名で視覚誘発電位、12名でblink reflexを施行した。結果、視覚誘発電位で76.9%、blink reflexでは検査を行った12例全例での異常を認め、同疾患では脳神経においても高頻度に伝導異常が存在することを証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗NF155抗体陽性CIDPは、同抗体陰性CIDPと異なる臨床的特徴や、治療反応性を有することが明らかとなっており、今後独立した疾患単位となる可能性がある。今回明らかにした振戦の様式により抗NF155抗体陽性CIDP症例を更に細分化できる可能性が示唆された。また、抗NF155抗体陽性CIDPでは脳神経障害が高頻度に生じることが明らかとなったため、同疾患と診断された症例については、積極的に電気生理学的検査を行い、早期に脳神経障害を同定することが望まれる。これらの所見が治療効果判定にも利用できる可能性がある。
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