研究課題/領域番号 |
19K17052
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
冨田 哲 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90736365)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | うつ病 / 増強療法 / e-Sports |
研究開始時の研究の概要 |
近年では、より有効なうつ病治療が求められています。ですが抗うつ薬のみによる薬物療法は限界があり、他の種類の薬を併用する増強療法に加え、非薬物的な治療方法も選択肢の一つです。その一つが運動療法ですが、運動は様々な事情でできない人もいます。一方で、近年テレビゲームを行うことでの脳機能の回復やうつ病への効果も報告されています。そこで、単純なテレビゲームとしての側面のみではなく、競技性をもつことから運動やスポーツの側面もあり、近年世界的な流行を見せるElectronic Sports(e-Sports)に注目して、うつ病治療におけるe-Sportsの増強療法の確立を目指すこととしました。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、症例の集積を行った。本研究はe-Sportsのうつ病治療における抗うつ薬による薬物治療における増強療法としての有益性の検討、有効な施行方法についての確立を目的とし、令和4年度も昨年度に引き続き、患者の収集およびe-Sportsの施行、臨床評価および検査、認知機能検査といったことを行った。 また通常の当科通院中の患者に対しても、ゲーム嗜癖について調査を行っている。これにより、本研究の参加者と非参加者の間において、もともとのゲーム嗜癖や習慣に差がないこと、選択バイアスが無いことを明らかにすべく、解析中である。新規のゲーム機器が販売、流通されるにあたり、調査内容の調整、これまでのデータとの整合性について検討したうえで対応した。 また関連する疫学調査も継続的に行った。一般住民を対象とした住民健診において、ゲーム嗜癖の実態調査のため1000例規模のデータを集積した。ゲーム嗜癖はコロナ禍において問題となりうる問題であり、経時的なデータを得られることができた。その結果、地域におけるゲーム嗜癖の実態が明らかとなり、また今後はコロナ禍が終焉していくなかでどのように改善していくか、あるいは持続していくのかの基礎的かつ重要なデータを得ることができた。これらは地域住民に結果を還元できるのみならず、対照群と比較するコントロール群としてのデータベースとしても利用できる。 コロナ禍でのゲーム嗜癖について調査する中で、ワクチン接種の影響がみられた症例を経験したため、症例報告を学会で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例は集積されてきている。 地域住民のコホート調査も行い、コントロール群として同時に解析する予定である。 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染対策を行った上での施行が必要となったが、その対策のため、症例の収集に難渋した。
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今後の研究の推進方策 |
うつ病患者のe-Sports施行時間と症状の関連性、うつ病症状の改善と生物学的機序の解明について明らかにする。 1.症例の収集・プロトコル ①令和3年度と同様な症例を、1年におよそ50例のペースで収集する。②令和3年度と同様にe-Sportsを行う。その際、患者をランダム化し、1日30分、1時間、2時間に分けた上で施行する。 2.臨床評価・検査 ①令和3年度と同様に各時点でMADRSを用いて症状を評価する。②各症例において、各種バイオマーカー測定および遺伝子解析を行う。③調査開始時、終了時に認知機能検査としてTrail Making Test(TMT)を施行し、e-Sportsによる改善や影響を確認する。3.結果の総括と公表 それまでの情報を統計解析し、結果を国際誌に投稿ならびに学会発表を行う。有効なe-Sportsによるうつ病治療の増強療法を確立し公表する。
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