研究課題/領域番号 |
19K17055
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 俊太郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20616784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | リチウム / 自殺関連行動 / メンタルヘルス / 思春期 |
研究開始時の研究の概要 |
日常生活で摂取される微量リチウムのメンタルヘルスへの影響が複数の研究で報告されている。しかし、その結果は一貫せず、リチウムの体内動態やメンタルヘルスへの影響はライフステージによって異なる可能性が示唆される。本研究では、以下の方法により、日常生活で摂取される微量リチウムのメンタルヘルスへの影響や体内動態をライフステージ縦断的に明らかにすることを目的とする。 1) 思春期一般人口において、乳歯中・尿中リチウム濃度とメンタルヘルスの関係を検討する。 2) 児童・思春期患者において、血中と尿中のリチウム濃度の関係を検討する。 3) 一般成人女性において、尿中リチウム濃度とメンタルヘルス指標の関係を検討する。
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研究成果の概要 |
東京都監察医務院で検案または解剖を受けた自殺者12名と非自殺死亡者16名の体内リチウム濃度を比較した。死後変化の影響が少ない眼房水のリチウム濃度を1検体あたり2回測定した。一部の症例で16時間ごとに2回のサンプル収集を行ない、死後変化を検証した。 血清中リチウム濃度と眼房水中リチウム濃度は有意に相関していた。眼房水中リチウム濃度は有意な死後変化をみとめなかった。自殺者の方が非自殺者よりも眼房水中リチウム濃度が有意に低いことが示された(平均 0.50μg/ L 対 0.92μg/ L)。死後時間を考慮に入れた解析においても、自殺と眼房水中リチウム濃度の有意な関係が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では、近年は特に若者における自殺率増加が目立ち、その予防は喫緊の課題である。自殺予防効果が実証されている薬は少なく、効果が示されている炭酸リチウムも、副作用等のため過小利用が指摘される状況である。今回、世界で初めて体内の微量なリチウムが自殺と関連することが示されたことは、リチウムの活用に大きな展開をもたらすものである。微量であればリチウムによる副作用等の問題も少ないことが期待できるため、自殺予防としての微量リチウムの活用が展開することが期待される。今後は自殺者で体内リチウム濃度が低いメカニズムの解明が求められるとともに、微量リチウムの自殺予防効果の検証が進むことが期待される。
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