研究課題/領域番号 |
19K17087
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今枝 美穂 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00813651)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | カルニチン / 摂食障害 / 神経性やせ症 / 再栄養 / 肝障害 / 脂肪酸代謝 / 低栄養状態 / カルニチン欠乏 / 二次性カルニチン欠乏 |
研究開始時の研究の概要 |
神経性やせ症(AN)は女性に好発する難治性疾患であり、未だ十分な病態理解や標準的な治療法の開発には至っていない。再栄養に伴って発生する肝障害がしばしば臨床的な問題となるが、その病態理解は未だ不十分である。 低栄養で枯渇しがちなカルニチンの欠乏により肝障害が生じるとの知見があり、低体重が続くAN患者においてもカルニチン欠乏と肝機能への影響が想定される。本研究ではAN患者におけるカルニチン欠乏の有無を同定し、そのリスク因子を再栄養開始からの前向き研究により探索する。更にカルニチン欠乏と肝障害や体重増加不良等の治療経過との関連を明確化し、肝障害発症の病態理解と新規治療法の導入に役立てることを目指す。
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研究実績の概要 |
慢性的な飢餓状態と関連して神経性やせ症患者では二次性のカルニチン欠乏が想定されるが、既報はいくつかの症例報告のみである。今回、我々は再栄養療法中の重度の低体重を伴う摂食障害患者において、カルニチン欠乏症が生じているという仮説を立て、そのカルニチン欠乏症が治療経過において肝障害、低タンパク血症や体重増加不良等の悪影響をもたらしているかを明らかにすることを目的とした。 摂食障害患者56名を対象としたコホート研究において、血漿遊離カルニチン(FC)値を測定し、健常群(35名)との比較を行った。 患者56名の入院時の年齢とBMIの中央値はそれぞれ、26歳(IQR21-35), 13.8(IQR12.8-14.8)だった。再栄養療法を開始後、約1ヶ月の時点で55%においてカルニチン欠乏が認められる、またはカルニチン欠乏症予備群であることが判明した。この低カルニチン血症は再栄養療法中の貧血と関連していた(OR:0.445; 95%CI:0.214-0.926, p=0.03)。更に、入院時BMI(OR:0.478; 95%CI:0.217-0.874, p=0.014)と入院時点の中等度以上の肝障害(OR:6.385; 95%CI:1.170-40.833, p=0.032)が、再栄養療法中の低カルニチン血症と有意に関連していた。 今回の調査において、低栄養状態を伴う摂食障害患者の再栄養療法中、つまり代謝の転換期において低カルニチン血症を認めた。この低カルニチン血症は再栄養療法中の貧血と関連しており、特に入院時BMI13未満の重度の低栄養状態を認める患者群, 更には入院時点で中等度以上の肝障害を認める患者群は、低カルニチン血症出現のサインと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文化は終了しており、現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、論文投稿中である。
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