研究課題/領域番号 |
19K17089
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山梨 豪彦 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30755591)
|
研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | PTSD / ケトン体 / BHB / うつ病 / SPS / MCT / βヒドロキシ酪酸 / 中鎖脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病、PTSDの治療に用いる抗うつ薬は、一部の患者には十分な治療効果が得られず、新たな治療法の開発が望まれている。申請者は、ケトン体の一つであるβヒドロキシ酪酸(BHB)の投与により、うつ病モデル動物において抗うつ様の作用があること、ストレス時の炎症性サイトカインの上昇抑制作用があることを報告した。本研究では、他の精神疾患への応用に向けて、PTSDモデル動物に対してBHBを投与し、その抗うつ効果と抗不安効果を検証する。さらに、臨床応用に向けて、うつ病モデル動物、PTSDモデル動物に対して、体内BHBレベルを上昇させる中鎖脂肪酸油を投与し、抗うつ効果、抗不安効果を検証する。
|
研究実績の概要 |
βヒドロキシ酪酸(BHB)は体内で生成されるケトン体の一つで、抗炎症作用、抗酸化作用を有し、代表研究者らはこれまでにうつ病モデルラットに対するBHBの投与が抗うつ作用、抗不安作用を有することを報告した(Yamanashi T, et al., Sci Rep. 2017)。本研究課題において、前年度(2022年度)終了までに、PTSDモデルラットに対するBHBの反復投与により、モデルラットの不安症状が軽減されること、PTSDモデルラットにおいてみられる血中の炎症性サイトカインの上昇がBHBの反復投与により抑制されること、を報告した(Yamanashi T, et al., Sci Rep. 2020)。今年度(2023年度)はBHBを用いた治療を臨床応用に近づけるため、中鎖脂肪酸油(MCT)の経消化管投与がPTSDモデルに対する抗不安効果を有するか検証した。はじめに、MCTの経胃投与により、血中のBHB濃度が上昇することを確認した。次に、Single Prolonged StressによりPTSDモデルラットを作り、その後2週間、MCTを経胃投与した後に行動試験を行い、不安行動の変化を検証した。対照群には長鎖脂肪酸油(LCT)を投与した。行動試験にはオープンフィールド試験、高架式十字迷路試験を用いた。その結果、MCTの経胃投与により、PTSDモデルラットの不安行動が軽減する傾向を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PTSDモデル動物を用いたBHBの反復投与による行動および全身性の炎症性サイトカインの変化の検証は終了した。MCTによる行動の変化を検証する実験は概ね順調に進展している。しかし、MCT投与による行動変化のメカニズムの検証を実施できておらず、全体としては進展がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
MCT投与を行ったPTSDモデルラットの脳、血液中の炎症性サイトカイン、神経栄養因子を解析し、MCT投与が行動を変化させる機序を解明する。
|