研究課題/領域番号 |
19K17108
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
徳倉 達也 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20378136)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 身体症状症 / 疼痛が主症状のもの / 慢性疼痛 / 治療反応性 / 生物学的因子 / 心理社会的因子 / 口腔内灼熱症候群 / 持続性特発性顔面痛 / 持続性特発性歯痛 / 疼痛 / 口腔領域 / 神経炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
身体症状症(疼痛が主症状のもの)は、疼痛が慢性に持続して社会機能が低下する疾患であり、社会・経済的損失は甚大であるが、長期経過や治療反応性予測に関する証左は不十分である。本研究では、口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状のもの)患者を対象に、疼痛、生物学的因子(血中神経炎症関連物質)、心理社会的因子(抑うつ、生活の質、社会的サポート、人格傾向、養育体験)を、治療前から治療後最長3年間まで継続的に測定することで、治療反応性予測因子の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状のもの)患者を対象に、疼痛(強さ・性質)、生物学的因子(血中神経炎症関連物質)、心理社会的因子(抑うつ、QOL、社会的サポート、人格傾向、養育体験)を、治療前から治療後最長3年間にわたって複数時点で測定し、治療反応性予測因子を同定することを目的としている。本課題の研究期間は、1年の延長申請を行ったことにより2019年度~2023年度の合計5年間となり、4年目にあたる今年度の進捗実績を以下に記載する。 1. 新規症例の集積:口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状のもの)患者群18例を新規登録し、血液検体及び各種評価尺度の収集を行った。0週に加えて、12週後、6ヶ月後、1年後、2年後、3年後時点のデータ収集も順次継続している。 2. セロトニントランスポーター(SERT)との関連についての報告:口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状のもの)患者の血漿検体を用いて、0週と12週における血小板SERT蛋白の発現に関する解析を行った。その結果、抗うつ薬Duloxetineがユビキチン化SERTのアップレギュレーションを通じて血小板SERT蛋白を減少させることにより疼痛軽減効果を呈する可能性が示された。その結果について学会で報告を行い(第44回日本生物学的精神医学会年会、第32回日本臨床精神神経薬理学会年会、第52回日本神経精神薬理学会年会、第6回日本精神薬学会総会・学術集会 4学会合同年会, 2022)、英語論文の投稿を行った(現在査読中)。 3. その他:これまでの研究で得られた知見を踏まえ、慢性疼痛の治療薬としての抗うつ薬の位置づけについて執筆した(臨床精神薬理, 2022)。また、本研究中に経験した、抑肝散が奏功した口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状のもの)の症例について論文を発表した(痛みと漢方, 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規症例の登録は徐々に進んでいるものの、COVID-19の影響による診療制限等の診療状況の変化に伴い、対象患者のエントリー数は当初の想定よりも少なくなっている。一方で、血中神経炎症関連物質、疼痛、抑うつ、QOL、社会的サポート、人格傾向、養育体験などの各種評価項目について、測定および予備的解析を順次進めることができており、その結果の一部は論文の形で発表を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
新規患者50症例(現在48症例)の集積を目標に新規症例登録を続け、登録患者のその後のデータ収集も継続する。現行のペースで進めば次年度中の目標達成が可能となる見込みである。なお、新規登録が目標に満たない場合は、愛知学院大学歯学部附属病院内で研究啓発を行い、登録を募る予定である。 次年度が最終年度となるため、集積された各種データの解析を順次行い、口腔領域の身体症状症(疼痛が主症状)患者の治療反応性予測因子の検討を進め、論文化を目指す予定とする。
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