研究課題/領域番号 |
19K17112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野崎 香菜子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10814329)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | うつ病 / グルタミン酸トランスポーター / 慢性社会的敗北ストレス / アルンジン酸 / 慢性社会的敗北ストレスモデル / アンヘドニア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、グルタミン酸神経伝達系の異常な活性化がうつ病発症基盤に関与しているとする仮説のもと、神経細胞の過剰興奮を抑えることが期待されるアルンジン酸に着目した。アルンジン酸はグルタミン酸トランスポーターの発現を亢進することから既存抗うつ薬とは異なる作用機序で脳内の神経伝達を調節すると考えられる。そのため、現在の治療法では十分な治療効果が得にくいアンヘドニア(無快楽症)のような症状の治療戦略としても期待できる。そこで、従来の行動指標に加えて新規のアンヘドニア指標を導入し、うつ病モデルマウスに対するアルンジン酸の治療効果と作用機序について検討を行い、同薬剤の新規抗うつ薬としての有用性を検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では慢性社会的敗北ストレスおよび急性LPS投与ストレスを与えたマウスにおいて観察されるうつ病関連行動を指標とし、アルンジン酸の薬効評価を行った。その結果、特に慢性社会的敗北ストレスをうけたうつ病モデルにおける社会的逃避行動や無気力状態に対して、アルンジン酸の慢性投与が改善効果をもたらしうることを明らかにした。また、アルンジン酸投与によるGlt1およびGlastのmRNA発現量の変動をqPCRにより解析した結果、アルンジン酸を投与したマウスの海馬においてGlt1のmRNA発現量の増加が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、最も広く使用されているモノアミン神経系を標的とした抗うつ薬は、治療抵抗性を示す患者が一定数認められることから、モノアミン仮説とは異なる作用機序を有する薬剤の導入が求められている。アルンジン酸は既に脳梗塞治療薬として期待された薬剤で臨床試験も実施されたが、精神疾患の治療薬としての有効性については十分に評価されていない。本研究でアルンジン酸の投与が少なくとも慢性社会的敗北ストレスモデルで見られる幾つかのうつ病様行動に対して改善効果が認められたことは、今後新たな薬理学的基盤を持つ抗うつ薬の開発を推進していく上で有意義な結果であるといえる。
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