研究課題/領域番号 |
19K17116
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北村 聡一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10714389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / PTSD / 幼少期逆境体験 / MRI / 心的外傷後ストレス障害 / PTSD様症状 / 逆境体験 / 灰白質容積低下 / 白質微小構造変化 / 虐待 / 白質微小構造障害 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)患者群と、定型発達(TD)対象群について、脳の形態画像および機能結合情報を得るために頭部MRI検査を行う。また臨床症状評価項目として知能評価としてWAIS-III、認知機能評価としてBACS-J、WCST、ASDの評価としてAQ-J、PTSD様症状などの評価スコアとしてIES-R-J、ASSP、逆境体験評価のためACE、CATSなどを行う。ASD群について、MRIデータより得られた脳容積、皮質厚、密度など皮質情報や白質微小構造、脳領域間機能結合情報と、PTSD様症状や逆境体験の重症度などの臨床症状との関連性について、TD群との比較を交えて解析して検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では自閉スペクトラム症(ASD)における心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状に関連する脳構造異常の検索を行った。さらにPTSD症状の原因となりうる幼少期逆境体験(ACEs)とそれらの関連性の検討を行った。ASDではPTSD症状と前頭葉や頭頂葉、楔前部における灰白質容積低下や神経密度上昇が有意に相関した。さらに、ASDではこれらの灰白質構造異常はACEsの重症度と有意に相関した。これらの関連性は定型発達群ではみられなかった。本研究で、ASDに特異的なPTSD症状に関連する脳構造異常が確認され、これらは幼少期逆境体験の重症度と関連する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ASDは様々な精神症状を合併することが知られる。これら二次性精神症状はASDの日常生活や社会機能に深刻な影響を及ぼすこと、薬物療法など治療への反応性に乏しいことがしばしば認められるため、その病態基盤を解明することは重要であると考える。本研究ではASDにしばしば併発するPTSD症状に関連する脳領域の灰白質構造異常と、それらが幼少期逆境体験の重症度と関連することを明らかにした。今回の知見を基にした薬物療法やニューロモデュレーションのような非薬物療法的なアプローチの検討が期待される。またASDにおける幼少期からの適切な養育が青年期以降の脳構造異常や二次性精神症状を予防する可能性が考えられる。
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