研究課題/領域番号 |
19K17143
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西山 祐一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80730598)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 放射線防護剤 / p53 / 細胞死 / 放射線腸管障害 / バナデート / 5QX / 5CHQ / 放射線骨髄障害 / 亜全身照射 / 全身照射 / 5-キノキサリノール / 5-クロロ-8-キノリノール |
研究開始時の研究の概要 |
腸管は放射線高感受性であり,骨盤領域の放射線療法では放射線腸管障害が副作用として頻発する。近年の研究から,被ばく後の初期応答因子であるp53の標的遺伝子の発現を調節することで,効果的に放射線腸管障害を防止できる可能性が示唆されている。本研究では,p53標的遺伝子の発現調節を介し,腸管の放射線耐性を高めるp53調節剤「5QX」の放射線防護剤としての有用性を実証する。
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研究成果の概要 |
がん抑制因子として知られるp53は,放射線腸管障害に対する抵抗性因子として機能することが知られている。本研究では,放射線腸管障害を効果的に防ぐp53制御性の防護剤候補化合物として見出された5-キノキサリノール(5QX)について,放射線防護活性評価,ならびに作用機序解析を行った。5QXはp53依存的に放射線細胞死を抑制し,細胞死に拮抗するp53標的遺伝子であるp21の発現を増加させるなど,放射線腸管障害に対する有効性を示唆する成果が得られた。さらに,マウス放射線胃腸管症候群を再現良く誘導可能な照射系が構築できたことから,現在,放射線腸管障害に対する本化合物の有効性について検討を進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線腸管障害は現代医療をもってしても克服が困難とされ,骨盤部放射線治療において根治に必要な投与線量を大きく制限する要因となっている。この制限を克服するために,腫瘍には作用せず,正常組織にだけ効果を発揮する放射線防護剤の開発が求められている。5QXは放射線細胞死をp53依存的に抑制し,放射線腸管障害に有効とされるp21の発現を増加させるなど,骨盤部放射線治療における有望な防護剤としての可能性が示された。今後,マウスを用いた個体レベルでのp53依存的な腸管保護効果を実証することで,当該治療における理想的な防護剤候補化合物としての有用性を実証できるものと考えられた。
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