研究課題/領域番号 |
19K17195
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
玉利 勇樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20794944)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | インターロイキン6 / 放射線抵抗性 / mTOR / STAT3 / インターロイキン6 / mTOR / IL-6 / ミトコンドリア / 活性酸素種 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療はがん治療の手段として有効であるが、がんの放射線抵抗性獲得が一つの大き な壁となっている。がん細胞の放射線抵抗性獲得に関わる要因の一つと考えられるのが、インターロイキン6(IL-6)である。本研究ではIL-6による活性酸素種抑制を介したがんの放射線抵抗性獲得のメカニズムを明確にし、生体内でのがんに対するIL-6の影響を明確にすることを目的とする。細胞株として膵臓がん由来細胞株を使用し、鶏卵腫瘍移植モデルを作成し、IL-6がミトコンドリアを介した活性酸素種産生を抑制するメカニズムを調査する。本研究により放射線抵抗性獲得のメカニズムが解明されることで放射線治療の治療成績の向上が期待できる。
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研究実績の概要 |
我々の過去の研究によりインターロイキン6(IL-6)による放射線抵抗性獲得はγ線照射後のミトコンドリア由来酸化ストレスを抑制することにより引き起こされるということが明らかにされた。本研究はIL-6による酸化ストレス抑制を介した放射線抵抗性獲得の詳細なメカニズムを調査することを目的とする。細胞はヒト膵臓がん由来細胞株Panc-1及びMIAPaCa-2を使用した。4GyのX線照射または解析の24時間前にrecombinent IL-6(rIL-6)を投与した。細胞株によるIL-6の産生量を調べるためにELISA法を用いた。また、IL-6による放射線抵抗性獲得について調査するためコロニー形成法を行った。さらに、ウエスタンブロット法により、IL-6下流のタンパク質発現量を確認した。その際にラパマイシンを使用しmTORのIL-6シグナル経路への関与を調査した。ミトコンドリア内活性酸素量及びミトコンドリア膜電位についてはそれぞれ蛍光プローブであるMitosox RedおよびJC-1を使用して計測した。ELISAの結果、Panc-1ではIL-6の産生がかなり少なかった。しかし、rIL-6を投与した場合にX線を照射した後の生存率は有意に増加した。rIL-6を投与した際にSTAT3の強い活性化が示され、これはmTOR阻害剤であるラパマイシン投与により抑制された。ミトコンドリア内活性酸素量はX線照射により増加したが、rIL-6の投与により抑制された。 しかし、ラパマイシンの投与はIL-6の効果を中和した。 一方、X線照射によるミトコンドリア膜電位の低下はrIL-6により抑制された。 ミトコンドリア膜電位については、mTORを抑制することでIL-6の効果を打ち消した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症再拡大に伴い、感染対策としてテレワークを行ったことや実験機器の故障による実験の遅延が理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、論文投稿中であり追加実験として、53BP1フォーカスの測定やMIAPaCa-2の活性酸素量測定を行う。
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