研究課題
若手研究
光音響イメージングとは、非侵襲的に微細な血管の3次元画像が得られる新たな画像診断技術である。申請者は本技術をリンパ管の撮影に応用し、ヒトのリンパ管を高解像度の3次元画像で記録した。さらに、リンパ管が周期的にリンパ液を送り出す動画をリアルタイムで3次元的に記録することにも成功した。一方で、光音響イメージングによるリンパ管の撮像には、リンパ管を良好に描出するために必要な条件が十分にあきらかでないという課題がある。本研究は、これまでの研究を発展させ、すでにリンパ外科の領域で普及している蛍光リンパ造影との比較を通じ、光音響イメージングによるリンパ管の描出法や、画像診断の体系を確立することを目的とする。
光音響イメージングによるリンパ管の描出法や、画像診断の体系を確立することを目指し、シリコンチューブを用いたファントム試験、健常者とリンパ浮腫患者を対象とした臨床試験に取り組んだ。ファントム試験では、インドシアニングリーン(ICG)が1000倍に希釈されると、赤外線カメラによる蛍光観察では検出できたICGが、光音響イメージングでは検出されなかった。臨床試験では蛍光観察において、ICGの注射後 数分以内の早期に出現した所見は、光音響イメージングでも明瞭に描出される傾向を認めた。
四肢のリンパ管の画像検査は、主に四肢のリンパ浮腫の評価の際に求められる。現在、臨床的に最も用いられているのはICG蛍光造影であり、リンパ浮腫の病態評価や手術計画にも応用されている。本研究を通じてICG蛍光造影と光音響イメージングの所見の間の対応関係に関する示唆が得られ、それぞれに利点と欠点があることが考察された。すなわち、ICG蛍光造影はハンドヘルドカメラを用いて自由度の大きい観察ができるが2次元的な表面の検査にとどまってしまうのに対し、光音響イメージングを併用すれば、早期に蛍光が観察された領域を高精細な3次元画像として描出できることを活かし、より綿密な手術計画を実現できる可能性が期待された。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 9件、 招待講演 11件)
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