研究課題/領域番号 |
19K17211
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
木村 将士 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (80619164)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 口腔癌 / PET / 腫瘍内 / 不均一 / テクスチャ解析 / Radiomics / 3Dプリンター / 3Dモデル / 画像診断 / 予後予測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は治療前の口腔癌患者のPET検査画像より、治療予後を予測することである。申請者は特に腫瘍内での放射線性薬剤(FDG)の不均一な集積を定量的に評価する指標である不均一指数(Heterogeneity index; HI)および不均一因子(Heterogeneity factor; HF)に着目した。本研究ではこれらの新たな集積指標と予後との関連を評価する事を目的とする。
|
研究実績の概要 |
口腔癌診療におけるFDG-PET/CT(PET)検査は、近年、頚部リンパ節転移や遠隔転移の診断だけでなく原発腫瘍の評価においてもその有用性が示されている。本研究の目的は口腔癌患者のPET画像を解析することにより、予後評価やリンパ節転移診断に有用な新たなPET指標を確立することである。申請者はまず初年度に腫瘍内での放射線性薬剤(FDG)の不均一な集積に着目した解析を行い不均一性指数 (Heterogeneity index; HI)が高値を示す症例では予後不良となることを明らかにした。さらに人間の視覚では判別することが困難な微細な腫瘍内での不均一性の変化をコンピューター支援技術により判別する手法であるテクスチャ解析を応用することにより、従来の画像解析法よりも正確な予後予測が可能となることを報告してきた(2022年度)。2023年度の研究実績としては、テクスチャ解析による予後予測の後、症例に応じて個別に切除範囲を決定する手法について検討した。これまで口腔癌の切除は術中の表在的な計測により切除範囲が決められていた。特に下顎骨の辺縁切除(一部切除)を行う際の深さの決定は術者の目測にて実施されることがほとんどであり、症例予後に合わせた詳細な切除範囲の決定は実質的に困難であった。そこで本研究では術前のCT画像から3Dプリンターを用いて立体モデルを作製し、さらに切除範囲を詳細に規定したガイドを3Dプリンターにて作製することで症例予後に応じた切除範囲の詳細な調整が出来るようなシステムを開発した。本年度、これらの結果や手法について国際雑誌に報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたPET画像を用いた原発腫瘍評価、予後評価の研究は概ね順調に終了し、将来的な臨床応用にあたり有用性の高い研究成果を報告することが出来ている。また単に予後の評価を行うに留まらず、予後不良が予測される症例に対する個別化治療の実施にあたり、3Dプリンターにより作製された顎骨3Dモデルと切除範囲を規定したカッティングガイドを作製することで、症例予後に応じた詳細な治療計画の立案、実施が可能となる可能性を示した。これらの結果についてはすでに国際雑誌に報告し、共有している。
|
今後の研究の推進方策 |
口腔癌の診断、治療における腫瘍内不均一性の評価を多角的に実施し術前診断におけるPET画像解析の有用性を報告するとともに、治療立案における具体的な臨床応用の方法についても報告を行った。今後は実際の治療についての予後評価を行うとともに、画像情報と病理組織、腫瘍免疫との関連についても検討を行うことが課題と考えている。
|