研究課題/領域番号 |
19K17219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
村田 慎一 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学分野, 研究員 (00748866)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MRI / バイオマーカー / 大腸癌 / 肝転移 / 悪性度評価 / 造影率 / 分子イメージング / 不均一性 / 腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
「不均一な腫瘍」は化学療法の効果も不均一なのではないだろうか。転移性腫瘍では転移巣ごとに不均一性が示されており、不均一性により治療効果も異なることが推察される。 腫瘍細胞壊死や線維化に伴う不均一性を評価する方法として病理学的な方法と画像での評価が挙げられる。病理学的な評価は継時的に全体像を評価するのは困難であり、従来の画像評価では定量的な不均一性の評価は難しい。そこで定量的な不均一性評価が可能な画像の開発が期待されている。 本研究では、分子イメージング手法を基礎としたMRI画像を用いて不均一性を定量的に評価し、得られた画像情報で早期治療効果予測や治療効果判定を行い、悪性度や予後の評価を行う。
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研究実績の概要 |
がん診療において,超早期診断や個別化治療の実現化が期待されている。肝腫瘍に対する治療は, 外科的切除術・全身化学療法・IVR(interventional radiology)などがあり,病態により治療法が選択されている。しかし、同じ癌腫であっても腫瘍それぞれで悪性度は違い、治療方針の選択に難渋することも多々ある。本研究の目的は、分子イメージング手法を基礎としたMRI画像を用いて不均一性を定量的に評価し、得られた画像情報で早期治療効果予測や治療効果判定を行い、悪性度や予後の評価を行うことである。 2019年度に作成したデータベースに基づいて、2020年度はMRI撮影画像と病理画像とを照らし合わせて評価した。具体的には、病理標本の線維化や壊死・細胞成分を評価してMRI画像との相関について評価した。当初の仮説では病変の線維成分と相関して、MRI画像の造影率が反映されるであろうとの予想をしていたが、あらゆる条件でも相関は確認できなかった。 病理画像の定量的解析は現時点では実行可能性が低いと考え、分子病理学的情報を検討対象に追加することとした。具体的には大腸癌肝転移症例の原発部位の主座及びKRAS変異の有無を解析に加えた。その結果、大腸癌肝転移巣のGd-EOB-DTPAの造影率はKRAS野生型及び左側大腸由来の症例で高い傾向を示した。 本年度は、大腸癌肝転移症例32例(左側:24例、右側:8例)について腫瘍造影率について検討した。右側大腸由来の肝転移巣の造影率(31.5±7.5%)は左側大腸由来の肝転移巣の造影率(40.9±12.1%)に比べて有意に低いことが確認された(p=0.03)。 大腸癌肝転移巣のGd-EOB-DTPAの造影率は分子・病理学的情報を反映した画像情報を表現しており、イメージングバイオマーカーの一つとなりうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病理学的な検討の実行可能性が低いことから、研究方向を転換する必要が生じた。それに伴い症例集積が遅れ、解析の進捗に遅れが生じている。 作成したデータベース・MRI画像を解析した。分子病理学的な評価と画像情報の相関について検討をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌におけるKRAS変異は治療効果予測を行う上で、重要な治療効果予測マーカーである。それをイメージングバイオマーカーで代替できる可能性を示唆事に意義があると考えられる。また病理学的な評価と相補的に用いることで、より強固な治療選択根拠として治療選択を行うことができるようになる可能性がある。 作成したデータベース・MRI画像の解析を進める。症例数を増やし統計学的な検討・論文化を行う。
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