研究課題/領域番号 |
19K17222
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋本 拓磨 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50799145)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 低酸素 / がん細胞 / DNA修復酵素 / 転写因子 / ATM / AMPK / Sp1 / 放射線生物学 / 放射線抵抗性 / 癌細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
癌の放射線治療において低酸素細胞は放射線抵抗性であり、その存在が放射線治療成績に大きな影響を与える。しかし、低酸素における放射線抵抗性を制御する分子機序は明らかになっていない。 本研究では、低酸素性癌細胞における放射線抵抗性の原因として、低酸素状態がDNA修復酵素の発現および活性化に及ぼす影響、そしてこれら酵素を制御する分子機序の解明を目的とする。低酸素におけるDNA修復酵素の発現の亢進および活性化に関与する分子を標的として、低酸素状態にある癌細胞を選択的に放射線増感させ、癌の放射線抵抗性の克服を目指す。
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研究成果の概要 |
重度な低酸素状態におけるDNA修復酵素の発現/活性の亢進の制御機構を明らかにするために、ヒト脳腫瘍細胞株T98GおよびA172を用いて、ストレス応答性の転写因子Sp1とFoxO3aの役割を検討した。重度な低酸素状態では、ATM、Sp1、AMPKαの発現が増加したが、FoxO3aは増加しなかった。AMPKαを発現抑制すると、ATMとSp1が抑制され、細胞周期分布に影響を与えずに、放射線抵抗性が有意に低下した。Sp1の発現抑制ではAMPKαは抑制されなかったが、ATMは抑制された。これらの結果から、重度な低酸素状態における放射線抵抗性に新規経路AMPK/Sp1/ATMが寄与することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低酸素細胞は放射線抵抗性であり、その存在が癌の放射線治療成績に影響を与える。本研究は、低酸素性癌細胞における放射線抵抗性の原因として、重度な低酸素状態がDNA修復酵素やエネルギーセンサーAMPK、およびストレス応答性の転写因子に及ぼす影響を解明しようとしたもので、従来のモデルとは異なる。本研究により、低酸素状態のヒト脳腫瘍細胞株において、新規経路AMPK/Sp1/ATMが放射線抵抗性に寄与することが明らかになり、特にAMPKを分子標的とすることで低酸素性癌細胞を選択的に放射線増感させることを実証した。これらの研究成果は、より効率的な癌の放射線治療に向けて新たな知見を提供する。
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