研究課題
若手研究
細胞の亜致死損傷回復は放射線による損傷からの回復能力であり、放射線が細胞に照射された直後から起こり始め、細胞生存率に大きく影響を及ぼすことが知られている。申請者はこの点に着目して、放射線治療における照射時間と細胞生存率の関係を明らかにし、照射時間の延長が細胞致死効果を低下させることを報告してきた。現在、細胞の亜致死損傷回復などの生物現象を考慮した線量評価システムは未だ存在しない。本研究では、これまでの成果を発展させ、細胞レベルにおける照射時間と亜致死損傷回復の関係を用いることにより、放射線治療計画装置の物理学的線量に照射時間という新たな因子を加味した生物学的線量評価を実現する。
本研究課題の目的は、細胞の亜致死損傷回復といった生物現象を考慮した放射線治療における線量評価システムの開発である。本研究の目的を解決するため、これまでのモンテカルロシミュレーションと数理モデルを組み合わせる方法に加えて、常微分方程式 (ODE: ordinary differential equation) に基いた数理モデルを開発し、照射時間と細胞生存率・腫瘍体積への影響を評価した。また、ODEに基づく数理モデルを用いることで、放射線治療の物理的な線量指標から腫瘍の反応性などの放射線生物学的な計算を行うことが可能となると考えられる。2023年度は、本研究成果を複数の学会発表や論文を出版してきた。2024年度は、開発した数理モデルを別の腫瘍細胞へ応用し、照射時間と細胞生存率・腫瘍体積への影響を評価する予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究の目的を解決するために新たに開発した数理腫瘍モデルを用いた研究内容の論文を複数投稿できたため
2024年度は現在投稿中の1編の論文の出版を目指すとともに、より堅牢で別の腫瘍細胞への応用可能な放射線生物学的モデル構築ののための研究を続行する予定である
すべて 2023 2022 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 2件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 17件) 学会発表 (50件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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