研究課題/領域番号 |
19K17233
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 綾 (中嶋綾) 京都大学, 医学研究科, 助教 (60826030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / 放射線治療 / 味覚障害 / 強度変調放射線治療 / 前向き観察研究 / 高精度放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部癌の放射線治療の有害事象のうち、味覚障害は治療早期から生じ、しばしば永続するため、患者の生活の質(QOL)を大きく損なう。本研究では、強度変調放射線治療を行った頭頸部癌患者に対し、味覚検査による客観的・定量的な味覚障害の評価とQOL質問票を用いた主観的評価を行う。さらに実際の放射線治療計画の線量分布や線量-体積ヒストグラムと照合して味覚障害を予測する因子を解析する。これにより味覚障害の少ない次世代の強度変調放射線治療の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
根治的強度変調放射線治療を行った頭頸部癌患者40名について、治療前と終了後1・3・6・12か月時点にQOL質問票と味覚検査(甘・塩・酸・苦・うま味)により主観的および客観的な味覚障害を評価した。治療後1か月で主観的・客観的味覚障害を認めた患者の割合は83%、60%であった。治療後6か月以降に客観的味覚障害を認めた患者の割合は63%であった。5つの味質の中ではうま味の低下が最も高頻度であった。QOL尺度のうち全般的QOLおよび食欲低下と、うま味の低下との間に相関を認めた。味蕾を有する臓器(舌・口蓋・喉頭蓋・咽頭上部・咽頭下部)の平均線量と味覚障害との間に有意な関連は認めなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
味覚障害は頭頸部癌患者に対する放射線治療後の副作用の一つであり、治療後の患者のQOLを大きく損なう。第5の味覚であるうま味は日本人において特に重要と考えられるが、これまでうま味に関する報告は少なかった。本研究では、味覚のうちうま味の障害が最も顕著であり、QOLとの相関があること、さらに患者の自覚のないうま味障害も多く存在することがわかった。この知見が放射線治療後の患者のQOL向上や食事の工夫に応用できる可能性がある。一方で、正常臓器の線量と味覚障害との関連は本研究では明らかにならなかった。味覚障害を低減する照射方法の開発は今後の課題である。
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