研究課題/領域番号 |
19K17251
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
楠本 多聞 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 研究員 (90825499)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 蛍光飛跡検出器 / オージェ電子 / 固体飛跡検出器 / モンテカルロシミュレーション / 標的アイソトープ治療 / Cu-64 / 内用療法 / 線量計測 |
研究開始時の研究の概要 |
オージェ電子は、高い線エネルギー付与(LET)及びその飛程の短さから、標的アイソトープ治療の有力な放射性核種の候補の1つとして挙げられる。しかしながら、オージェ電子を含めた低エネルギー電子を対象とした線量評価の実験例はほとんどなく、測定技術が確立されていないのが現状である。本研究では、オージェ電子を用いた標的アイソトープ治療の作用機序の解明とその知見に基づく治療計画の最適化のために、オージェ電子の線量評価技術を確立する。加えて、低エネルギー電子の役割を分子鎖損傷から理解するために、低エネルギー電子(~30 eV)の照射実験も行い、損傷の収率を評価する。
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研究成果の概要 |
標的アイソトープ治療は播種性の転移がんに有効な治療法である。本研究ではオージェ電子放出核種であるCu-64に焦点を当て、蛍光飛跡検出器を用いてオージェ電子の線量評価手法の確立に取り組んだ。蛍光飛跡検出器内に記録された飛跡の観察に使用する共焦点顕微鏡の焦点深度を調整することで、オージェ電子と競合過程で発生するベータ粒子を区別して評価することに成功した。得られた結果はGeant4やPHITSコードによるシミュレーションの結果と比較し、整合性があることを確認した。また、シミュレーションによる結果を元に細胞の生存率曲線を再評価し、生物学的効果比が炭素線のそれと同等であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オージェ電子は高い細胞殺傷効果が確認されており、その放出核種は標的アイソトープ治療に使用されている。本研究では、蛍光飛跡検出器を使用し、Cu-64から放出されるオージェ電子の線量評価手法の確立に取り組んだ。蛍光飛跡検出器の表面付近でオージェ電子による有意に高い蛍光を確認した。実験結果はシミュレーションによる結果ともよく一致した。そこで、シミュレーションによる結果を元に生物学的効果比を評価した。Cu-64の生物学的効果比は炭素線のそれとおおよそ一致した。これは、オージェ電子等による低エネルギー電子による細胞の殺傷能力が非常に高い事を意味しており、Cu-64の治療効果が高い事を示す結果である。
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