研究課題/領域番号 |
19K17370
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
釼持 孝博 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20784713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 動脈管 / 酸素 / bFGF / 活性酸素 / 酸素分圧 / 大動脈 / ベタメタゾン / 早産児 / 追加投与 |
研究開始時の研究の概要 |
母体へのベタメタゾン投与は胎児の肺成熟を目的とする標準治療だが、現在のガイドラインでは、ベタメタゾン最終投与から分娩までの間隔が長期となった場合の追加投与については規定されていない。本研究では、母体ラットへのベタメタゾン投与から分娩までの間隔と追加投与の有無による胎仔動脈管内膜肥厚と収縮率の変化をin vivoで検討し、さらに臨床での母体へのベタメタゾン投与から分娩までの間隔と児の動脈管閉鎖の関連を統計学的に検討することで、動脈管閉鎖の効果が減弱し得る最終投与から分娩までの期間と、その効果を持続させることに対してベタメタゾンの追加投与が与える意義を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は動脈管閉鎖を主眼に置いた母体へのベタメタゾン分娩前追加投与の効果を提唱することを目的としたが、調整すべき前提条件として酸素分圧に着目した。先行研究において出生後の酸素分圧上昇が塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の分泌を増加させ、動脈管平滑筋細胞の血管内腔への遊走を促進することで内膜肥厚を形成し、動脈管の器質的閉鎖を促す可能性が見出された。酸化ストレスがbFGF産生を促進するとされるため胎児環境を模した低酸素状態 (酸素濃度 3%) で培養した動脈管と大動脈平滑筋細胞を酸素濃度21%に置いたところ動脈管平滑筋細胞でのみ酸化ストレスに伴う活性酸素種活性が上昇することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、動脈管平滑筋細胞において出生後の酸素分圧上昇による活性酸素種活性上昇が生じ、それがbFGF産生を誘導することで血管内腔への遊走が促進されて内膜肥厚を形成し、そして器質的閉鎖を促進するという可能性が示唆された。現在未熟児動脈管開存症に対する内科的治療手段はプロスタグランジン合成阻害剤のみであり、治療不応の場合はより侵襲の高度な外科的治療に踏み切るしか方法はないが、本研究は酸素分圧の調整が未熟児動脈管開存症治療の一助になる可能性を示していると考えられ、新生児医療の更なる発展に寄与する結果を得られたと考えている。
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