研究課題/領域番号 |
19K17372
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
田中 えみ 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60823581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳性麻痺 / 低酸素性虚血性脳症 / 新生児脳梗塞 / 細胞治療 / メタボローム解析 / 脳性まひ / 早産児 / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 脳代謝 / 低分子代謝物 / イメージング質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有効な治療法のない早産児脳障害の病態を明らかにすることで細胞治療のプロトコール確立を目指す。早産児は脳の未熟さゆえに脳性麻痺や発達障害が高率である。一方で、早産児脳は低酸素に強く可塑性が高いことも知られている。この相対する特徴から、発達段階にある脳においてエネルギー代謝・アミノ酸・核酸といった低分子化合物が重要と考えた。従来の自然免疫・サイトカインの評価に加えて、これら代謝物質の新生児低酸素性虚血性脳症における関わりを早産児マウスモデルを用いて解明し、その知見のもとに細胞治療の適正プロトコールを構築する。
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研究実績の概要 |
虚血脳障害モデルを用いた代謝解析を行うことを目的とし、正期産および早産の脳虚血モデルマウスを作製した。
正期産モデルの研究では、正期産脳梗塞マウスモデルの脳でメタボローム解析およびイメージング質量分析で解析を行った。虚血半球脳のメタボローム解析に比べてイメージング質量分析では、微量検出と分布の可視化が可能であるため、より局所的な傷害と治療の変化が明らかになった。特にグルタミン酸は、梗塞中心部の信号強度が低下することはメタボローム解析と一致したが、梗塞周辺部は著明に上昇した。細胞治療は梗塞中心部の信号低下を改善するには至らなかったが、間葉系幹細胞は梗塞周辺部の上昇を有意に改善した。このような変化はカルニチンにおいても同様であった。 早産児モデルの研究は、早産児低酸素虚血性脳症モデルマウスを作製した。このモデルでは傷害3週以降の体重増加率と大脳半球体積が有意に低下し、Rotarod testの成績も不良であった。細胞治療ではそれらの改善には至らなかったが、免疫組織学的評価において視床でのIba1陽性細胞が治療で有意に減少した。 正期産児と早産児で同条件の虚血を受けた際、変化に差異を認めるか、肝臓と脳に注目し比較を行った。低分子化合物のメタボローム解析において、虚血前の肝臓では早産児と正期産児の間に違いは少なかったが、脳では差異を認め、分岐鎖アミノ酸、TCAサイクル中間代謝物、乳酸等が正期産児の脳に有意に多かった。一方で、虚血による変化は、早産児と比較して正期産児の肝臓で経時変化がより明らかであった。脳は虚血による変化は小さく一定した傾向は見られなかった。高分子であるサイトカインは虚血による変化は肝臓・脳とも有意ではなかった。正期産児の肝臓における代謝反応性、および脳組成の成熟による変化が、虚血での受傷に影響を与えていると示唆された。
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