研究課題/領域番号 |
19K17374
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中村 幸恵 自治医科大学, 医学部, 講師 (20382955)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | グルコーストランスポーター1欠損症 / GLUT1 / SLC2A1 / 遺伝子治療 / AAV / フローサイトメトリー法 / 遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
グルコーストランスポーター欠損症(GLUT1DS)はSLC2A1遺伝子変異により脳内GLUT1を介した糖取込障害をきたし、難治性痙攣、知的障害、小脳失調等をひきおこす。治療はケトン食療法だが、神経障害が進行している重症例では効果が乏しい。そこで、新生児期にも少量の血液採取で検査可能なフローサイトメトリーで細胞膜表面のGLUT1発現を評価し、GLUT1DSの重症度予測に有用なカットオフ値を決定することをを目標に研究を進める。新生児期に早期診断し重症度を予測することで、軽症例はケトン食療法、重症例は早期にAAVベクターによる遺伝子治療、と治療の層別化を図ることを最終目標とする。
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研究実績の概要 |
【背景】グルコーストランスポーター1欠損症(Glut1DS)はSLC2A1遺伝子変異により、脳内GLUT1を介した糖取込障害をきたし、難治性痙攣、知的障害、小脳失調等を引き起こすが、治療は対症療法であるケトン食療法のみである。本研究では、新生児期でも早期診断が可能であるフローサイトメトリー法にて赤血球細胞膜上のGLUT1蛍光強度を評価し、臨床的な重症度と比較検討した。また、申請者は、新規治療法として、アデノ随伴ウィルスベクター(AAVベクター)を用いたGlut1DS遺伝子治療開発研究を継続している。現在、Glut1DS遺伝子治療の医師主導型臨床治験に向けて準備を進めており、その過程でより効果的な投与経路の検討が必要になると考えたため、2022年度は、正常ミニブタに対し、蛍光蛋白発現カセット(AcGFP, mCherry, AmCyan)を組みこんだAAVベクターを大槽投与、脳室内投与、静脈投与を同時に行った。 【結果】1. フローサイトメトリー法によるGlut1DS患者の赤血球細胞表面のGLUT1発現の評価:2022年度は、4か月の乳児痙攣の1例についてフローサイトメトリー法を行った。GLUT1陽性赤血球はコントロール96.9%に対し患者は93.7%と軽度低下であった。2021年度までに施行した13名の患者の検討では、中等症以上の知的障害を合併するGlut1DS患者11名は90%未満で、コントロールと比較し有意に低下していた。2. 大型実験動物に対する治療用AAVベクター投与経路の評価:2022年2月に正常ミニブタ1頭に対し、静脈投与(AAV-mCherry: 7×10^12vg/kg), 大槽投与(AAV-AcGFP: 3.5×10^12vg/kg), 脳室内投与(AAV-AmCyan: 3.5×10^12vg/kg)を同時に行い、現在脳内ベクターゲノム分布の解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Glut1DS患者に対するフローサイトメトリー法について、測定試薬がCOVID19流行に伴い一時入荷困難となった。試薬開発元である、METAFORA社(フランス)のGlobal Medical Managerと交渉し、2023年度には試薬再入荷が予定されている。また、フローサイトメトリー検査希望の患者についても、現時点で2名連絡をいただき、今後増加が見込まれている。大型実験動物に対するAAV投与経路についても、COVID19流行に伴うAAV精製工場停止により、十分量のAAVベクター作成が遅延した。2022年度に2頭分のベクター精製が出来たため、2023年度に残り1頭の評価を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
1. フローサイトメトリー法によるGlut1DS患者の赤血球細胞表面のGLUT1発現の評価:重症度を分類するカットオフ値を決定することを目標に引き続き研究を進める。既に15例の測定実績があり、中間報告として、2022年度に原著論文を1編報告した (Mol Genet Metab Rep. 2023 Jan 2;34:100954) 。2023年度は検査試薬の入荷次第、対象患者を増やし検討を進める。 2. 大型実験動物に対する治療用AAVベクター投与経路の評価:2022年度は、正常ミニブタ1頭に対し、蛍光蛋白発現カセット(AcGFP, mCherry, AmCyan)を組みこんだAAVベクターを大槽投与、脳室内投与、静脈投与したため、2023年度は投与後の脳内ベクターゲノム分布および蛋白発現について評価を進めるとともに、新規ブタ1頭についても2023年度内にAAV投与を行い、蛋白発現を評価する。
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