研究課題
若手研究
成人した日本人プラダーウィリー症候群患者において、成長ホルモン分泌能は果たして悪いのか、成長ホルモン補充療法の効果は体組成維持に対しどのような効果があるのか検討する。また、性腺補充ホルモン治療の効果と精神症状に対してどのような影響を及ぼすのか、これまでの経験や報告を吟味し大規模な検討を行うことで日本人プラダーウィリー症候群における包括的な治療指針を作成し、統一された治療を行えるようなシステム構築を目指す。
プラダーウィリー症候群の移行期医療が困難な理由として、その多彩な合併症が挙げられる。今回行った研究では、日本人プラダーウィリー症候群の合併症を一つ一つ検討し、その対応法を示してきた。今回の具体的な研究成果として (1) 甲状腺機能低下症の合併は少なく、成長ホルモン治療の影響を受けないこと (2) 成長ホルモン治療のみでは骨密度の維持は困難であり、性腺補充療法が重要であること (3) 糖尿病の合併は28.9%であり、発症年齢は18.0歳と早いこと (4) プラダーウィリー症候群では新生児期に正しく診断し、早期からの介入を行うことが重要であること、が挙げられた。
プラダーウィリーではその多彩な合併症により多くの患者がトランジションできていない現状がある。移行期医療を円滑に進めるためには、主となり患者をみてきた医療者がその合併症を評価し、総合的に対応していかなくてはいけない。今回の研究では日常診療で遭遇する合併症や早期診断を行うための指標を示すことができた。本研究成果を患者会や学会、専門家による研究会を通じて発信していくことでプラダーウィリー症候群患者への理解を深めることができ、プラダーウィリー症候群の移行期医療の診療や疾患の啓蒙活動を行うことが可能となった。そういった側面からも今回の研究は学術的意義や社会的意義があるものと考えた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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